「【推しの子】」星野ルビー役で輝きを放つ!齊藤なぎさがコミック実写化作品で見せる存在感

コラム

「【推しの子】」星野ルビー役で輝きを放つ!齊藤なぎさがコミック実写化作品で見せる存在感

解像度の高さが光る、齊藤なぎさの演技力

ストイックさは外見だけではない。これまでにアイドルとしてグループで活躍していた齊藤が俳優としての名を一気に上げた出演作といえば、上述した「明日、私は誰かのカノジョ」だろう。

齊藤は自分の体を売ったお金でホストに通う“ホスト狂い”の高橋優愛(ゆあてゃ)役を好演。ニコニコとした明るく、イマドキな一面を持ちながらも、少し深いところまで知ると闇が深い役だ。特に印象的だったのは、担当ホストであったハルヒ(藤原樹)との本気の喧嘩シーン。それまではどちらかといえば、キレイで触れられないような存在であった齊藤が感情をむき出しにし、自分よりも体格のいい男性に食ってかかる様子は見ていて驚いた。

さらに、ホストをきっかけに友だちになった真矢萌(箭内夢菜)が「ホストに通うことをやめても、いまのまま友だちでいてほしい」と言おうとしたところでの、冷めきった顔はたまらない。相手を蔑むような呆れた表情は、アイドルとしてステージに立つ齊藤からは絶対に引きだせない表情だったからこそゾッとした視聴者も多いだろう。

主人公あこ子の親友で、あざとかわいい充希を演じた『あたしの!』
主人公あこ子の親友で、あざとかわいい充希を演じた『あたしの!』[c]幸田もも子/集英社・映画「あたしの!」製作委員会

また、11月に公開された映画『あたしの!』では、「好き!」をストレートに伝えられて、好きな人にも親友にも本音を隠さない主人公、関川あこ子(渡邉美穂)の親友であり、学校一の人気イケメン、御共直己(木村柾哉)をめぐって恋のライバルにもなる谷口充希役に抜擢されたことでも記憶に新しい。齊藤が演じた谷口という役は、少し控えめでおとなしいキャラクター。その一方、好きな人にはしっかりとアプローチをするあざとくて抜け目のない一面も持ち合わせている。主人公のあこ子がすぐに恋のライバル認定をするのではなく、「あれ?もしかして充希も同じ人を好きなのか?」、「これは天然でやっているのか、それともアプローチのためなのか?」と半信半疑になるようなあざとさのグラデーション具合が絶妙だった。

恋に恋する女子高生、小春を演じた『恋を知らない僕たちは』
恋に恋する女子高生、小春を演じた『恋を知らない僕たちは』映画『恋を知らない僕たちは』Blu-ray&DVD2025年2月14日(金)発売発売・販売元:松竹[c]2024「恋を知らない僕たちは」製作委員会 [c]水野美波/集英社

このように振り返ると「明日、私は誰かのカノジョ」、『あたしの!』、ほかにも『交換ウソ日記』(23)、『恋を知らない僕たちは』(24)と漫画原作の映画やドラマに多く出演している印象。それは、漫画に出てくるような圧倒的なかわいらしさを持ち合わせながらも、実写化した時に決してわざとらしくなりすぎない、3次元の世界でも成立するキャラクターとして違和感なく演じられるからではないだろうか。

ルビー、かな、MEMちょによって結成された新生「B小町」(「【推しの子】」)
ルビー、かな、MEMちょによって結成された新生「B小町」(「【推しの子】」)[c]赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社・東映 [c]赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社・2024 映画【推しの子】製作委員会

そう考えると、今回の『【推しの子】』におけるルビー役の抜擢にも納得だ。特にドラマ版を見ていると、細かい所作に、本人がアイドルだった経験が生きているように感じる。伝説的なアイドルだったアイの娘として、母親に引けを取らないアイドルとしての資質をきちんと表現している印象だ。また、キラキラとした一面が多く見られたルビーだが、映画版ではそうではない暗い一面も覗かせることになるだろう。芸能界で成長しながら変わりゆくルビーを、高い役への解像度を持って成立させている齊藤なぎさに、ぜひとも注目してほしい。


文/於ありさ

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