今後のシリーズ展望にも言及!「ロード・オブ・ザ・リング」最新作に挑んだ神山健司監督&フィリッパ・ボウエンにインタビュー
「我々の映画が本当に仲間入りしたんだなという実感が湧き上がってきた」(神山)
――ところで、先日開催されたワールドプレミアには、ピーター・ジャクソンさんをはじめ、イアン・マッケランさん、ケイト・ブランシェットさんといったシリーズのおなじみの方々も参加されていました。ご一緒されてみていかがでしたか?
神山監督「ピーター・ジャクソン監督が作り上げた『ロード・オブ・ザ・リング』の世界に加わることができることをとても誇りに感じていました。そして、レッドカーペットをピーターやイアン・マッケランと共に歩き、顔を見た時、ああ、我々の映画が本当に仲間入りしたんだなという実感が、そこで初めて湧き上がってきましたね」
――ボウエンさんも久しぶりにお会いになる方などがいらっしゃったのでないでしょうか?
ボウエン「久しぶりっていうほどではなかったのですが(笑)。とにかく、この作品が私たちのシリーズ、世界の一部になるということに、イアンもケイトもすごくワクワクしていて、『早く観たい!』と楽しみにしていたんです。イアンには『ある魔法使いが出てくるかも?』とからかってもいました。ワールドプレミアの前日が英国の映画協会の試写だったのですが、そこにもケイトが参加していて、観終えたあと神山監督に『次の神山監督の作品に私を!』とアピールしていました。つまり、2人ともこの作品が本当に大好きだっていうことですよね!」
「ゴラムの物語を描くならアラゴルンなしでは成立しない」(ボウエン)
――トールキンが創造した物語はまだまだあります。今後、映像化してみたいエピソード、キャラクターはありますか?
神山監督「もちろん、たくさんあります。エルフやホビットも描いてみたいすね。ただ、そこにはアニメーションで作るからこその課題、障壁もあります。簡単には言えないですが、本当に魅力的な世界がたくさんあるので、ぜひ映像化に挑戦したいとは思います」
ボウエン「『ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い』によって、神山監督がいかにすばらしいかを私は知ってしまいました(笑)。そうですね。特にモンスター、クリーチャーを登場させて、どんなストーリーを紡いでくれるのかを見せてほしいです」
神山監督「(今回は)水中の監視者を実写版よりも造形をしっかり見せましたから」
――ちなみに、シリーズという意味では、指輪を葬る旅が始まる前のゴラムを描く、実写映画『The Hunt for Gollum』も予定されています。原作小説では、指輪を求めて洞窟を抜け出したゴラムをアラゴルンが捕らえるということもあり、彼を演じたヴィゴ・モーテンセンさんとボウエンさんがこの作品についてお話されたとも伺ったのですが…。
ボウエン「もちろん、ゴラムの物語を描くならアラゴルンなしでは成立しないですよね。とはいえ、ヴィゴがカムバックするかはわからないし、いい脚本も書かなければならない。大きなプレッシャーを感じています。ヴィゴが再びアラゴルンを演じるかは彼が決めることですが、もし戻って来なかったとしても、次に誰にバトンを引き継いでもらうかには関わってもらいたいとは思っています」
「ロード・オブ・ザ・リング」、そしてローハン史を語るうえでも重要な『ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い』。今後のシリーズの展開にも胸を馳せながら、ヘラ、ヘルム王たちの勇姿をスクリーンで見守ってほしい。
取材・文/平尾嘉浩