キム・ゴウン、チョン・ヘイン、ピョン・ウソク、コ・ミンシ…映画ライターが選んだ2025年注目の韓国スターたち

コラム

キム・ゴウン、チョン・ヘイン、ピョン・ウソク、コ・ミンシ…映画ライターが選んだ2025年注目の韓国スターたち

映画、舞台のみならずバラエティでも大活躍!“韓国映画界の顔”ファン・ジョンミン

『ベテラン2』で進化したアクションを見せるファン・ジョンミン
『ベテラン2』で進化したアクションを見せるファン・ジョンミン[c]EVERETT/AFLO

韓国映画を語るには絶対外せないファン・ジョンミン。いつも活躍しているが、2024年は特に輝いていた。釜山国際映画祭で開催された超満員のアクターズハウスでは、「普段は近所のおじさん」と自称する親しみやすさで会場を大いに沸かせつつ、「演技をしているときが、本当に自分が生きていると実感する」という生粋の“役者バカ”発言にも感動した。「この役は絶対にやりたい。誰よりも上手いと言われたい」と、キャリアを積んだ今なお衰えない演技への貪欲さで臨んだ『ソウルの春』チョン・ドゥグァン役は圧巻の一言に尽きる。来年以降の期待は、彼のコミカルさとエネルギッシュな一面が炸裂する当たり役『ベテラン2(原題:베테랑2)』の公開と、演劇出身である彼のホームと言える舞台の公演。昨年上演された「マクベス」を観逃してしまったことが実に悔しいので、再演を期待!
(ライター・荒井 南)

21世紀に入って以降、1年も休むことなく出演作が公開され続けているファン・ジョンミン。長年トップを走り続けてきた彼にとっても2024年は記念すべき年となった。映画では2023年末に封切られた『ソウルの春』が大ヒット。チョン・ドゥファン大統領をモデルとする主人公に扮したファン・ジョンミンの演技も絶賛された。夏には演劇「マクベス」の公演、秋には代表作の続編『ベテラン2』が公開、年末にはYoutubeの旅行番組が話題を集めるなど、1年にわたって活躍が続いた。どんなに歳を重ねても新鮮さを失わない彼と同じ時代に生きる幸せはまだまだ続きそうだ。
(ライター・佐藤 結)

ジャズの即興演奏のように現場の空気と共演者の演技を吸収するチョン・ユミ

『スリープ』で青龍映画祭主演女優賞に輝いたチョン・ユミ
『スリープ』で青龍映画祭主演女優賞に輝いたチョン・ユミ[c] 2023 SOLAIRE PARTNERS LLC & LOTTE ENTERTAINMENT & LEWIS PICTURES ALL Rights Reserved.

チャーミングな中に芯の強さがある俳優、チョン・ユミを推したい。ラブコメ「愛は一本橋で」での、チュ・ジフンとの“仲良し喧嘩ップル”も楽しく観たし、昨年東京で開催されたホン・サンス監督特集でラインナップされていた、海辺が舞台の旧作『リスト』(11)での瑞々しさに改めて感嘆させられた。新作だと、怪現象に取り憑かれる夫を心配していたら自分が取り込まれてしまう妻を演じた『スリープ』(23)での怪演が思い出される。以前より彼女の演技は「ジャズの即興演奏のよう」と評されていたが、本作を手掛けたユ・ジェソン監督が明かしていたように、真っさらな状態から現場の空気と共演者の演技を吸収しながら役を作り上げるからこそ、どんな役でも新鮮味を失わないのだろう。昨年シーズン2が配信されたバラエティ「ソジンの家」でのキャラも大好きだ。小言の多いイ・ソジンを軽くいなし、後輩たちには「ユミヌナ」と慕われる頼もしさを今年も見せてほしい。
(ライター・荒井 南)


コメディでもシリアスドラマでもロマンスでも魅力的に演じるチョ・ジョンソク

『パイロット』で女装姿が話題になったチョ・ジョンソク
『パイロット』で女装姿が話題になったチョ・ジョンソク [c]LOTTE ENTERTAINMENT

2024年映画にドラマに大活躍の俳優といえば、何といっても、チョ・ジョンソクだろう。主演したコメディ映画『パイロット(原題:파일럿)』が観客数470万人を超える大ヒット。主人公ジョンウ(チョ・ジョンソク)は人気テレビ番組にも出演するスターパイロットだったが、失言がきっかけで一夜にして失職。再就職に行き詰まり、妹の身分を借りて女装して再びパイロットになる。女性のふりをしながら時々男性のジョンウがぽろっと出てしまう、絶妙な演技で大いに笑わせてくれた。一転して、映画『幸せの国(原題:행복의 나라)』では大統領暗殺に加担したとして裁判を受ける軍人(イ・ソンギュン)の弁護人役として主演し、非常戒厳下、人権を踏みにじる横暴な権力者に立ち向かう姿を熱演した。イ・ソンギュンの遺作という点でも胸が痛んだ。大河ドラマ「魅惑の人」では政争に巻き込まれる王役で主演し、シン・セギョンとの囲碁を通したラブストーリーはタイトル通り、魅惑の人そのものだった。
(ライター・成川 彩)

キム・テリの表現者としてのポテンシャルは計り知れない!

「ジョニョン:スター誕生」で見事な歌唱力を見せたキム・テリ
「ジョニョン:スター誕生」で見事な歌唱力を見せたキム・テリ[c]Disney+

出演作品のすべてを代表作にしてしまうキム・テリ。2024年のドラマで全話の演技に感動して心を揺さぶられた俳優は彼女だった。「ジョンニョン:スター誕生」で演じた天性の歌声の持ち主ユン・ジョンニョン役は、計り知れない彼女の可能性に恐ろしくなったほどだ。『お嬢さん』のメイドとして働くスッキ、「ミスター・サンシャイン」の令嬢エシン、「二十五、二十一」の夢を追いかけるヒド、「悪鬼」では悪鬼に取りつかれたサンニョン。キム・テリが演じてきたキャラクターに吸い込まれるのは一瞬のことで、今でも鮮明に記憶の中で生きている。

彼女の魅力は演技だけじゃない。数々の授賞式ではチャーミングな一面をのぞかせ愛らしい人だ。世界最大級のK-POP音楽授賞式「2024 MAMA AWARDS」では初の司会に抜てきされ、どんな舞台であっても自分らしさを失わず堂々とした姿に芯の強さも感じられた。表現者として一体、どこまでいってしまうのだろうか。私たちをどんな世界に連れていってくれるのだろうか。2025年もキム・テリが見たくてしかたがない。
(ライター・ヨシン)


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