『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』杉田雷麟が語る“山”の恐ろしさ。さらなる飛躍を誓う22歳のいま
「第2回日本ホラー映画大賞」で大賞に輝いた同名短編を、受賞監督である近藤亮太監督が自ら長編化した『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』(1月24日公開)。主人公の兒玉敬太役を演じた杉田雷麟は、「観る側としてホラーが得意ではなかったので、出演が決まった時は正直不安がありました」と明かす。「ですが脚本を読んだ時に感じた“あとに残る怖さ”に衝撃を受け、引き込まれていきました」と本作との出会いを振り返る。
「“山”はある種の別世界。違う空間に飛ばされてしまったと感じることもあります」
子どもの頃に弟が失踪したという過去を抱えながら、行方不明者を捜す山岳ボランティア活動を続ける敬太。ある日、彼のもとに一本の古いビデオテープが送られてくる。そこには弟がいなくなる瞬間が映されていた。霊感を持つ同居人の司(平井亜門)から深入りしないよう忠告される敬太だったが、自分についてまわる忌まわしい過去を辿るべく動きだし、弟がいなくなった“山”へと向かうことに。
これが4本目の長編映画主演作となる杉田は、不思議なほどに“山”と縁がある俳優だ。映画初主演を務めた『山歌』(22)では、山々を旅して暮らすサンカと呼ばれる人々と出会う中学生を演じ、寛一郎とダブル主演を務めた『プロミスト・ランド』(24)ではマタギとして生きる青年を好演。「山が似合う男だとよく言われます(笑)。地元が栃木県の足利市なので、子どもの頃から山には慣れているんですが、それでもこんなに続くものなんですね」。
幼少期から親しみを持って山で遊んできたという思い出を語る一方で、「道をちょっと外れると迷ってしまったり、どこを見ても同じ景色だったり。昼間でも人がいないと怖くて、まるで違う空間に飛ばされてしまったのではないかと感じることもあります」と、山特有の空気感について触れる杉田。「山がある種の別世界だと知っているので、本作の物語も想像しやすかったです」と、これまでの経験が本作に臨むうえでの一助となったことを明かした。
ホラー映画らしく、撮影現場では不可解な現象に直面したという。「終盤に登場する廃墟の撮影現場が病院の跡地だったのですが…」と話し始める杉田。「撮影中に突然『ガシャーン』となにかが倒れるような大きな音がしたんです。機材が倒れたのかと思ったのですが、音が聞こえた方は撮影で使っていない、誰もいないはずの病室で。近藤監督と一緒に動画を撮影しながら確認しにいったのですが、普通にベッドが並んでいるだけでなにかが倒れたような形跡はまるでなくて…」。
ホラーが得意ではないと言っていた杉田だが、まったく動じるようすもなく「でも現場で変わったことが起きたのは、それだけでしたね」とけろりとした表情。「撮影が始まるまでは、なにか起こるのではないかと気が気じゃなかったのですが、撮影が終わると同時に全部を山に置いてきましたから」と笑い飛ばす。