『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』杉田雷麟が語る“山”の恐ろしさ。さらなる飛躍を誓う22歳のいま
「20歳の節目からは、5年後や10年後のことを想像しなければという思いが強くなりました」
2002年に生まれ、2017年から俳優として活動を開始した杉田。『半世界』(19)で稲垣吾郎演じる主人公の息子役を演じ、第41回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞、第34回高崎映画祭 最優秀新進男優賞に輝くなど一躍注目を集めると、その後も『罪の声』(20)や『孤狼の血 LEVEL2』(21)、「ガンニバル」(ディズニープラスにて配信中)、『福田村事件』(23)など、映画やドラマを問わずさまざまな話題作に出演してきた。
「俳優を始めた頃は、とにかく目の前にあることをがむしゃらにやっていくことで精一杯になっていて、気が付いたら20歳という節目を迎えていました。そこからは、5年後や10年後のことを想像しながらやっていかなきゃいけないという思いが強くなりました」と、22歳を迎えたいま、自身のこれまでのキャリアについて語る杉田。
ターニングポイントとなった作品があるかと訊ねてみると、映画とドラマ、そして舞台から、それぞれ1作品ずつタイトルが挙げられていく。「映画ではやはり『半世界』です。ドラマだと『Aではない君と』で、舞台では横山拓也さんが作演出を務めた『フタマツヅキ』ですね。3作品とも、自分のなかで越えなくてはいけない壁にぶつかる瞬間が何度もあり、俳優として大きく成長できたと感じられる作品です」。
「たくさんの人と出会えたことが、僕にとっての大きな財産」
また、共に仕事をした監督や先輩俳優からもらった言葉も、成長の糧として大切にしているという。「『半世界』の時に阪本順治監督が、昔映画の打ち上げでスタッフに殴られたという話をしてくれました。その時に阪本監督は、自分だけで映画を撮っているわけじゃないと気付いたと仰っていて、僕もそれを忘れないようにしようと感じました。『教誨師』の時に大杉漣さんが仰っていた、『主演でも端役でもどっちでもいい。大杉漣というものを残すことが大事』だという言葉からも、一つ一つの役を大切に演じていく姿勢を学びました」。
さらに「Aではない君と」で共演した佐藤浩市とのエピソードを語ろうとすると、「めちゃくちゃカッコよくて!」と顔をほころばせる杉田。「『この世界で食っていくのか?』と訊かれて『はい!』と答えたら、『じゃあお前が納得いくまで何度でも付き合ってやる。お前がカメラを止めたかったら何度でも止めろ』と言っていただいて。そんなこと恐れ多くてとてもできなかったですが、そう言っていただけたのがうれしくて。俳優を始めた頃に、たくさんの人と出会えたことが僕にとっての大きな財産です」。
本作の公開後にも「ガンニバル シーズン2」(ディズニープラスにて3月19日より配信)や、足立正生監督の『逃走』(3月15日公開)などが控えている杉田。「25歳になる頃には自分自身の視野をもっと広げ、30歳になる頃には、映画館に人が呼べる俳優になれることを目指してがんばっていきます」と、さらなる飛躍を誓った。
取材・文/久保田 和馬