20年ぶりにスクリーンで激突! 香港映画界永遠のビッグ2、トニーとアンディの強固な絆
アジアを代表する映画スター、アンディ・ラウとトニー・レオン。ふたりの共演作といえば、やはり『インファナル・アフェア』シリーズを思い浮かべる人が多いだろう。『ゴールドフィンガー 巨大金融詐欺事件』(公開中)は、約20年ぶりとなる彼らのダブル主演作であり、『インファナル・アフェア』では共同脚本を手がけたフェリックス・チョンの最新監督作である。
トニー・レオンが演じるチン・ヤッインは、実在の人物をモデルにした香港金融ビジネス界の大物。1970年代に身ひとつで香港に流れ着き、大胆かつ巧妙な金融詐欺を繰り返して莫大な財産を築いた知能犯だ。その謎に満ちた男の痛快かつ恐るべきサクセスストーリーを、トニー・レオンは持ち前のイノセントな愛嬌を振り撒きながら、のびのびと妙演。
一方、アンディ・ラウはチンを追うICAC(汚職対策独立委員会)の捜査官ラウ・カイユンを凛々しく演じる。15年もの長きにわたって宿敵を追い続ける執念深い人物だが、マジメ一本槍のカタブツというよりは、飄々とした余裕の態度を崩さない知性的な佇まいで魅せる。もはや過剰な芝居など必要としないスターの貫禄にも溢れ、観る者を圧倒する名演だ。
『インファナル・アフェア』よりも劇中での共演シーンが多く、正義と悪の対立構図も明確だが、両者が決して本心を明かさず繰り広げる「腹の探り合い」が大きな見どころである点は共通している。ド派手な銃撃戦でも殴り合いでもなく、言うなれば「余裕という刃」を相手の喉元に突きつけ合っているかのようだ。以下に引用するオフィシャル・インタビューのコメントからも、ふたりがこのバトルを楽しみながら演じたことがわかる。
トニー:やはりこれだけ(付き合いが)長くなると、お互いに成熟した部分を感じますし、芝居においても互いにかなり技術的にレベルアップしたと思いました。
アンディ:昔と違ってキャラクターに深く入り込めている、お互いに深く没入する術を覚えたという感触がありました。もちろんその演技の方法、表現の方法はまったく違います。トニーさんはトニーさんで『インファナル・アフェア』の際よりも数段良くなっているし、私は私でやはり昔のままではなく、一歩進んだ演技ができたと思っています。
……その言葉どおり、『ゴールドフィンガー 巨大金融詐欺事件』のスリリングな対決シーンは、まさしく役者として円熟味を増した両者だからこそ醸し出せたもの。その光景は、それぞれ唯一無二の名優となった両者の歩みをしみじみと実感させるものでもある。