妙な色気で観る者の心を掴むソン・ソック!大ブレイクした「私の解放日誌」から最新作『コメント部隊』までのキャリアを振り返る

コラム

妙な色気で観る者の心を掴むソン・ソック!大ブレイクした「私の解放日誌」から最新作『コメント部隊』までのキャリアを振り返る

「演じる事は、自分のなかの“情緒”を取り出す作業」

ミステリアスなク氏の魅力に惚れた女性が続出!
ミステリアスなク氏の魅力に惚れた女性が続出![c]JTBC

ソン・ソックは演じる際、「1つのキャラクターを1つの情緒と見なし、情緒を取り出して広げる」と語る。“感情”ではなく、経験から生まれた“情緒”。「ク氏は自らに対する嫌悪が最も大きかった30代前半の情緒を取り出し、カン・ヘサンは20代前半に持っていた鬱憤を取り出した」と説明し、「自分のなかにあったが一度も表に出してこなかった情緒を、演技で出しながら自分自身を知っていく」と語っている。「私の解放日誌」の脚本家、パク・ヘヨンが彼の演技を見て「ク氏そのもの!」と驚いたそうだが、それも彼のなかにある情緒から生まれたからに他ならない。

「あの時、どんな行動をして、どんな言い方をしていた?どう思ってた?」と辿る作業だが、違うのに見つけたと勘違いして演技をしてしまう事があるのだと言う。すると、まず体が気付き「いま、誰かの真似をしている、と自分自身も観客も騙す気分になる。どこかで見たような演技をするようになるのが一番つらい」と語る。「見たものをもっともらしくするには、観察力がとても優れていたり、真似する才能が無ければならないが、自分にはその才があまり無い」と残念がった。

『殺人者のパラドックス』では、勘の鋭い刑事チャン・ナンガムを演じた
『殺人者のパラドックス』では、勘の鋭い刑事チャン・ナンガムを演じた[c]Netflix

そして作品を終えた後は、そのたびに簡単な文章を残すんだそう。これは俳優になる前からの習慣で、「ミスをしても何か学びがあったとすれば、それは貴重な経験」と思い、作品が終わるたびに学びが積み重なる。それを新しい作品を始める前に、全部読み返すそうだ。

個人事務所設立、映画制作、シナリオ作家まで…今後の活躍が楽しみすぎる

このように書いていると、ソン・ソックはとてもストイックな人物に思える。もちろん演技の面ではそうだが、彼自身は楽しい事が大好きで、コメディアンになりたかった時期もあるほど。『コメント部隊』の宣伝を兼ねて出演したYoutubeの人気コンテンツ「UV Bang」や「バドナス BDNS」ではお笑いセンスを爆発させた。

スナックムービー『夜釣り』を制作し話題となったソン・ソック
スナックムービー『夜釣り』を制作し話題となったソン・ソック[c]CJ CGV

2024年初めに個人事務所兼制作会社「ステナム」を設立し、同年6月には現代自動車からのオファーで『夜釣り(原題:밤낚시)』という10分強の映画を製作。映画館で公開されたが入場料は1000ウォン(約100円)で、彼は「スナックムービー」と呼んでいる。

このように新しい試みに挑戦する傍ら、2025年も本業では休み無し。直近では、4月からドラマ「天国より美しい(原題:천국보다 아름다운)」が韓国で放送開始。これは、80歳で亡くなった主人公が天国で夫と再会するロマンス作品。主人公の老婆を大御所女優、キム・ヘジャ、その夫をソン・ソックが演じ、歳の差カップルの愛を描くストーリーだ。

極悪非道なヴィランを演じた『犯罪都市 THE ROUNDUP』
極悪非道なヴィランを演じた『犯罪都市 THE ROUNDUP』[c]2022 ABO Entertainment Co.,Ltd. & BIGPUNCH PICTURES & HONG FILM & B.A.ENTERTAINMENT CORPORATION, ALL RIGHTS RESERVED.

その他にも、推理サスペンスドラマ「ナインパズル(原題:나인 퍼즐)」の配信や、ハリウッド映画『A WALK THROUGH BEDFORD PARK(原題)』の撮影が控えている。また「2年以内に大劇場で演劇の舞台に立ちたい」との目標や、将来的に「シナリオ作家になる」という夢を掲げ脚本も少しずつではあるが執筆中だとか。まだまだ私たちの知らない面をたくさん持っているソン・ソック。それを1つずつ見られるのが楽しみだ。

文/鳥居美保


関連作品