ストップモーションアニメ『KUBO』のスタッフが来日「黒澤明作品から影響を受けた」
第30回東京国際映画祭の特別招待作品『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』(11月18日公開)の舞台挨拶が、10月29日にTOHOシネマズ六本木で開催。来日したアニメーション・スーパーバイザーのブラッド・シフ、スタジオ・ライカのCFOのブラッド・ヴァルド、プロダクション・コンサルタントの後藤太郎が舞台挨拶とティーチインに参加した。
ブラッド・シフは実際に劇中で使った主人公KUBOのパペットを手にし「1秒に24コマなので、24回ポーズを変えます。骨格はスチールでできていて、ポーズをキープできます」と実際に動かして見せると、会場から「おお!」とどよめきが上がる。
続けて「腕はすごく繊細な演技ができます。人間よりも動けますよ。僕たちは彼らのことを小さなヴァンパイアと呼んでいます。パペットたちは、彼らを動かしているアニメーターの命を吸い尽くして動いていますから」とおちゃめな発言をして笑いを取った。
ブラッド・シフは「トラヴィス・ナイト監督は黒澤明作品にかなりインスピレーションを受けていますし、僕も戦いのシーンや普段の物腰などを参考にしました。盆踊りのシーンや戦いのシーンは、専門の殺陣の先生にもお願いしました」と日本文化についてかなりリサーチしたことを明かした。
プロダクション・コンサルタントの後藤も「木版画の斎藤清さんの影響も強いです。木版画のきめ細かいところ、肉眼で見えるはずのないところも反映されていて、それが全体の質感にも影響しています。日本の職人意識がアメリカでも継承されていると思います」と手応えを明かした。
『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』は『コララインとボタンの魔女』(09)のスタジオライカが放つストップモーションアニメ。三味線の音色で折り紙を意のままに操る不思議な力を持つ少年・クボが、サルとクワガタを仲間に加え、闇の力に命を奪われた両親の敵討ちをしようとする。アカデミー賞やゴールデン・グローブ賞、アニー賞にノミネートされた話題作だ。【取材・文/山崎伸子】