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ギレルモ・デル・トロ、菊地凛子との再会に歓喜!「私にとって“パシリム”は森マコが主人公だった」

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ギレルモ・デル・トロ、菊地凛子との再会に歓喜!「私にとって“パシリム”は森マコが主人公だった」

日本時間3月5日(月)に発表される第90回アカデミー賞で、作品賞や監督賞をはじめ最多13部門にノミネートされている『シェイプ・オブ・ウォーター』(3月1日公開)のギレルモ・デル・トロ監督が来日。30日に赤坂プリンスクラシックハウスで行われた記者会見で彼は、本作に込めた様々な想いを語った。

物語は1962年、冷戦下のアメリカ。政府の研究機関で働くイザベラは、幼い頃のトラウマで口がきけない控えめな女性。ある日、研究目的で運ばれてきた一体の魚人に惹かれ始めた彼女は、友人たちの力を借りて“彼”を連れ出そうと決意するのだ。

「我々と違う、異種のものに対して『信用するな、恐れろ』という思想が強く、愛や感情をなかなか感じられないいまの時代だからこそ、このストーリーが必要だと感じた」と、ストーリー構築の経緯を明かすデル・トロ監督。「ラブソングのようなイメージと音で、シンフォニーを奏でるような映画にしたかった」と作品に込めたテーマを語った。

1962年という時代背景を選んだことについては「現代の物語では誰も耳を傾けてくれない。しかしこの時代は戦争が終わって裕福で、誰もが未来に希望を持っていた時代。その反面、人種差別や性差別、冷戦といった社会的背景や、映画業界が衰退している面など現代と共通している部分がある」と語った。

さらにデル・トロは、アカデミー賞にノミネートされたサリー・ホーキンスやオクタヴィア・スペンサーらキャスト陣、また衣装や美術などへのこだわりを語り、中でも本作の物語の要となる“水”について、見事な撮影テクニックを駆使したことを明かした。

「オープニングとクライマックスのシーンは水を一滴も使っていないんだ」と、古い演劇の手法を使った水中シーンの作り方を解説。その一方で、中盤のバスルームでの水中シーンに関しては「実際に水の中で撮影している。同じような水の中のシーンでも、2つの手法を取り入れて、それぞれに大変な部分があった」と、そのアイデアの柔軟さを感じさせた。

会見には特別ゲストとして、2013年に公開されデル・トロ監督作品の中でも最大のヒットを記録した『パシフィック・リム』でパイロットの森マコを演じた菊地凛子が登場。前日に本作を鑑賞したという菊池は、興奮冷めやらぬ様子で「監督の愛情が細部に見えてくる作品だった。何度も観たい」と絶賛。

『パシフィック・リム』に出演したきっかけについて、彼女がそれ以前に出演した『バベル』(06)でアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督から紹介してもらったことを明かした彼女は、撮影現場でのデル・トロの様子について「説得力のある演出で、スタッフ全員が監督の愛情に応えている。とてもやる気をもらえる監督です」と振り返った。

するとデル・トロは「彼女がいたから『パシフィック・リム』を作ることができた。私にとっては森マコが主人公だった」と明かし、再びタッグを組むことを熱望した。

取材・文/久保田和馬

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