「四畳半神話大系」から『ペンギン・ハイウェイ』にまで通ずる“森見登美彦ワールド”の求心力
8月17日(金)公開の劇場版アニメ『ペンギン・ハイウェイ』。小説家・森見登美彦のベストセラーが原作の本作は、平穏な新興住宅地に突如として“ペンギン”が現れたという事件をきっかけに、次々と不思議な出来事に見舞われる少年のひと夏を描いている。これまで映像化された森見作品には、『夜は短し歩けよ乙女』(17)のほか、TVアニメ「四畳半神話大系」、「有頂天家族」などがあり、どの作品も独特な世界観や個性的なキャラクターが持ち味。こうした森見作品の特徴を改めて考えながら、『ペンギン・ハイウェイ』にも受け継がれている魅力を紹介したい。
なぜか“クセになる”主人公の変わった思考
一度でも森見作品に触れたことがある人であれば、主人公の“フツーじゃない”思考が印象に残っている人も多いのではないだろうか?『夜は短し歩けよ乙女』の主人公“先輩”は後輩の“黒髪の乙女”に恋する京都の大学生。彼女へのアプローチとして、“ナカメ作戦(ナるべくカのじょのメに留まる)”を実行し、偶然を装っては彼女の前に現れる。まるでストーカーのようなこの行いも、独特の文体で語られるキャラクターの台詞回しがアニメーションでも生き生きと表現されることで、滑稽でありながら、どこか憎めないおかしさやほほえましさを感じさせる。
『ペンギン・ハイウェイ』の主人公・アオヤマ君は小学4年生で、森見作品では異色の存在だ。学んだことを毎日ノートに記録する研究熱心な男の子で、次々と起こる不思議現象を解明しようと地道な調査を開始する。一方で、近所の歯科医院に勤める“お姉さん”の大きなおっぱいが気になって仕方がなかったり、およそ子どもとは思えぬ理屈をこねては周りの人を困らせることも。本作でも、これまでの森見作品の主人公に見られる“いつの間にかクセになる”変わった思考をアオヤマ君もしっかりと引き継いでいる。
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