有村架純主演作は、タイムリープ映画史上“最も複雑なルール”が立ちはだかる!?
有村架純の約1年ぶりとなる主演映画『コーヒーが冷めないうちに』(9月21日公開)。「ある席に座ると、望んだ通りの時間に戻ることができる」という不思議な喫茶店を舞台にした、感動の群像劇だ。本作は“タイムリープ”がキーポイントとなるのだが、時間をさかのぼるための必須条件がトンデモなく“面倒くさい”のだ!
これまでのタイムリープ作品は、ルールが至ってシンプルだった。例えば実写版の『時をかける少女』(86)はラベンダーの香りをかぐこと、『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』(17)では“もしも玉”に願いを込めて投げるだけで、時間が巻き戻るという単純明快な仕掛けだったが、今作ではなんと“5つ”もの条件をクリアする必要がある…。
“過去に戻るまで”はとにかく忍耐!
まずは、喫茶店・フニクリフニクラの「窓際から2つ目の席に座ること」。しかし、この席にはなぜか常に先客がおり、その人を無理やり退席させることはできない。その先客が席を立った時にしか、そこに座ることができないのだ。店の噂を聞いて集まった者たちは「面倒くさい!」と文句を言いつつも、まるで椅子取りゲームのように席が空くのをじっと待つことになる。
やっと“時間の戻れる席”に座れても、次なるルールが。過去へ戻れるのは、「店員の時田数(有村)の入れるコーヒーがカップを満たしてから、そのコーヒーが冷めてしまうまでの間だけ」。ほんのひと時しか過去に滞在することができない。さらに、このコーヒーを冷めきる前に飲み干さないと、現在に戻れなくなってしまうという!
ついにタイムリープ!そこでもさらなる制約が…
そして苦労して過去へ行っても、残り3つのルールが立ちはだかる。「この喫茶店を出る事はできない」。「この喫茶店を訪れたことのない人には会うことができない」。そして、最後のルールは「過去に戻って、どんな事をしても、現実は変わらない」というもの。つまり、戻れないかもしれないというリスクを承知で、喫茶店限定の空間でタイムリープをしても、結局起こってしまった過去は変えることができないのだ。
しかし、タイムリープに挑むのは、想い人の気持ちを聞けずに離ればなれになってしまったOLや、病に侵された妻の心残りを聞き出そうとする夫など、それぞれ事情を抱えた人たち。会いたい人への想いや自分の感情と真っ直ぐ向き合う姿が、胸に刺さる。
原作は「とにかく泣ける!」と口コミが広がり、17年には本屋大賞にもノミネートされた同名小説。テレビドラマ「重版出来!」や「アンナチュラル」などの演出で良質な物語をヒットさせてきた塚原あゆ子が初めてメガホンを取り、伊藤健太郎、波瑠、林遣都、薬師丸ひろ子、松重豊ら豪華キャストが集結した。ややこしいルールを乗り越えてタイムリープする本作だからこそ味わえる上質な感動を、ぜひ劇場で体験してほしい!
文/トライワークス