鬼才ランティモス監督最新作が北米プレミア上映!エマ・ストーンら女優陣の華麗な衣装にも注目
現地時間9月28日に開幕した第56回NY映画祭の開幕作品として、FOXサーチライト・ピクチャーズが贈る『女王陛下のお気に入り』(19年2月公開)が公式上映された。本作はギリシャの鬼才ヨルゴス・ランティモス監督の最新作で、18世紀初頭の英国王室における女性たちのドラマを、オリヴィア・コールマン、エマ・ストーン、レイチェル・ワイズが演じる話題作。先ごろ行われた第75回ヴェネチア映画祭にて銀獅子賞(審査員大賞)とオリヴィア・コールマンが女優賞をW受賞するという快挙に続き、北米プレミアとなった。
NYのリンカーンセンター内の劇場で行われたプレミアには、ランティモス監督、出演者のオリヴィア、エマ、ニコラス・ホルトほか、ゲストにエマの親友のジェニファー・ローレンス、『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』(公開中)でエマが演じたテニスプレイヤー、ビリー・ジーン・キングらが出席し、豪華な北米お披露目となった。
上映後に行われた記者会見において、ランティモス監督は「ある特有の時代を生きた権力者の女性3人によるドラマと、彼女たちの特異なキャラクターが国全体や国民の運命を左右した史実に惹かれました。そして、この物語を描くにはどういったアプローチが有効かと考えた時に、喜劇的要素は外せないと思ったんです。ただ、僕はどんな題材に対しても、滑稽さやユーモアを真っ先に考えてしまうんです」と語り、過去作から引き継がれる独特な作風に賞賛の声が集まった。
初のコスチュームプレイとなったエマ・ストーンは衣装について「いままでコルセットを付けて演じたことがなかったので、息をするのも大変だった。それと同時に、この時代を生きた女性を束縛したものについて考えるきっかけになりました。コルセットを付けていると、立ち方や歩き方も固定されてしまい、常に背筋を伸ばしていなくてはいけない。その経験が役作りにもとても活かされたと思う」と語った。
また、数多くの映画衣装を手掛け『恋におちたシェイクスピア』(98)、『アビエイター』(04)、『ヴィクトリア女王 世紀の愛』(09)でアカデミー賞衣装デザイン賞を3度受賞しているサンディ・パウエルが手掛けた衣装について「最初に着た衣装はセルビッジデニムにレザーが施された、現代的な素材を使ったクールな衣装だった。そこからだんだんと(エマが演じた)アビゲイルの衣装も変わっていき、モノトーンのドレスに高いヘアウィッグをつけて、彼女の立ち位置や視点がみるみるうちに変わっていく様を表していたの」と言及した。
続くオリヴィア・コールマンは「私はゴージャスなガウンや寝間着を着ることが多かったので、コルセットを付ける必要がなくて助かった(笑)。でも式典の際に着る正装は宝石がふんだんに使われていて、あの時代の女性たちはこんな重いドレスを着て動き回っていたなんて…と同情したわ」と思い入れたっぷりに語った。
取材・文/平井伊都子