『カメ止め』や濱口竜介、キアロスタミまで!クラウドファンディングが実現する映画の“多様性”
――MGSの詳細をもう少し深掘りさせてください。プロデューサーや監督以外の、役者や技術者もみなMGSに所属しているのでしょうか。
「MOTION GALLERYとして所属しているのは、いわゆるプロデューサーしかいません。なので、例えば映画の場合は監督ありきで、最適なスタッフィングをその都度考えます。簡単に言うと、プロデューサー集団がスタッフィングも含めて制作に全責任を持つスタイルです。
例えば、『あの日々の話』の玉田監督は、青年団のつながりで、『淵に立つ』の深田晃司監督と先輩後輩の関係性だったこともあり、ご自身が上演した舞台を映画化したいと考えていました。玉田さんから資金調達の相談を受け、クラウドファンディングするための作業を進めていたなかで、『映画制作が初めてなので、0から一緒に出来るプロデューサーはいないですかね』という話をいただいた。それが、丁度MGSを立ち上げたタイミングだったので、『あの日々の話』をMGSで作ることになりました。メインプロデューサーである鈴木徳至も僕も舞台を観ていたので、話はスムーズに進みました。“カラオケを舞台としたワンシチュエーション・コメディ”というこの作品のスタイルは、映画にするとなるとかなり厳しいことはわかっていましたが、だからこそMGSにとって取り組むべきチャンレジでもありました」。
――『あの日々の話』は、今後一般にも劇場公開されるのでしょうか。
「はい。現在MGSでは同時並行で5本ぐらい映画を作っています。1つは嶋田洋平という建築人のドキュメンタリー映画『建築を、あきらめる(仮)』で、これは元々劇場公開せずに、MOTION GALLERYの姉妹サービスとして展開する、公民館やカフェなどでの映画上映をサポートするサービスの『Popcorn』経由で上映すると決めていたのですが、『あの日々の話』は一般上映をする前提で作っており、TIFFが終わったあとに劇場公開を目指しています。“サークルの幹事長選挙”というテーマなので、学生の新歓シーズンに合わせて公開したいと思っていて、どこで上映するかも、もうほぼ決まっています」。