エミリー・ブラントが明かす、メリー・ポピンズ役の重責と92歳のレジェンドとの共演秘話
私生活も順風満帆。家族のエピソードを披露
感情に流されることなく、常に冷静なメリー・ポピンズだが、バンクス家の騒動が一件落着し、旅立つ時の表情にふと哀愁をにじませる瞬間がある。「抑制を効かせた演技はもともと好きなの。メリー・ポピンズは、やるべきことをやり遂げられたら、その家を去らなければいけないことがわかっているので、人間関係についてはあまりべったりしないように心がけているんだと思う。でも、バンクス家の人々のことは大好きだから、本当は別れることを寂しく思っているに違いない」。
エミリーには2人の娘がいるが、5歳の長女は同シーンを観て「NO!行かないで」と声を上げたそうだ。「きっと本作を観た多くの子どもたちは、同じようにせつない気持ちになったと思うし、自分も初めてオリジナル版を観た時にそう感じた。それだけの喪失感を覚えてしまうほど、メリー・ポピンズは私の中で大きな存在になっていたんだと思う」。エミリー自身も、クランアップを迎えたあと、感無量だったそうだ。「本当に心が豊かなキャラクターだったから、演じ終えた時、悲しくてしょうがなかった」。
彼女のパートナーは、同じく俳優で、映画監督でもあるジョン・クラシンスキー。新体感サバイバルホラーとして全米で大ヒットした『クライエット・プレイス』(18)の監督としても知られている。主演も兼ねた同作で、彼はエミリーと夫婦役を演じていたが「彼はとてもクリエイティブな人。私たちはお互いにやっていることを理解し合っているんです」と、プライベートでの夫婦関係も良好のよう。
クラシンスキーは『メリー・ポピンズ リターンズ』を大いに気に入り、涙したそうで、すでに3回も映画を観ているという点も微笑ましい。良き女優であるだけではなく、家族の温かみを知っているエミリーが演じたからこそ、メリー・ポピンズがより味わい深いキャラクターになったのかもしれない。最後にエミリーは「メリー・ポピンズは希望を忘れず、日々の生活に喜びや楽しみを見出すことを教えてくれた。自分にとっても特別な作品となりました!」と力強く締めくくってくれた。
取材・文/山崎 伸子