デザイン画も一挙公開!コスチューム劇の常識を覆す『女王陛下のお気に入り』は衣裳デザインにも注目
パウエルは「ヨルゴスは、いかにも衣裳を着て歩き回っているようなのは望んでいなかった。 リアルで自然なものを求めていたの。彼は私に本当に多様なイメージを見せてくれました。その中で特に覚えているのは、イングマール・ベルイマンの『叫びとささやき』。 それが、映画がどのようになるのかをつかむ、最大の手がかりでした」と、インスピレーション源を教えてくれた。
さらに「私がしたことは、実際の裁断と衣服の構造はできる限り歴史的に正確にしつつ、実際の生地は伝統的でないものにする、ということでした」と続けるパウエル。「王室用にはシルクとサテンが使われるのが当時は普通でしたが、私たちはコットン、デニムを使用し、私が住んでいるブリクストンのアフリカ系プリント生地さえ使いました」と驚きの告白。
そんなパウエルが手掛けた劇中衣装の数々が、TOHOシネマズ六本木にて展示されている。しかもすべてオリヴィア、エマ、レイチェルの3人が撮影で着用した本物の衣装だ。実際に目の前で見てみることで、スクリーン上ではなかなか気付けなかった細部へのこだわりなども発見できるはずだ。映画本編を観る前でも観た後でも、ランティモス監督とパウエル、2人の天才が生みだしたもう一つの“傑作”を目に焼き付けてみてはいかがだろうか。
文/久保田 和馬
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