明日に迫った第91回アカデミー賞!前日リハーサルと候補者登壇のシンポジウムが開催
いよいよ明日に迫った第91回アカデミー賞授賞式を前に、会場となるハリウッドのドルビー・シアターでは前日リハーサルが行われた。そして、ビバリーヒルズにある映画芸術科学アカデミー本部では今週1週間を“オスカー・ウィーク”とし、各部門の候補者が登壇するイベントが行われている。
21日の夜に行われた外国語映画賞のシンポジウムには『万引き家族』(公開中)の是枝裕和監督、『ROMA/ローマ』のアルフォンソ・キュアロン監督ら5名の候補監督が勢ぞろいした。
アカデミー賞ノミネートについて、日本での受け止められ方について聞かれた是枝監督は、「僕の映画の中では、いままでで一番たくさんのお客さんが劇場で観てくださいました。とてもいい反応で受け止めていただきました。ただ、一部からは映画を観る前に『万引きをして暮らしている家族など存在しない』という意見も寄せられました。映画の中でも『あんなものは家族ではない』と言われ、彼らが経験したものを理解しようとしない、存在しないものとして片付けてしまう目線を描いたつもりなんですが、その目線と同じものが映画に対して向けられるということを経験しました。もしかするとその反応も含めていま、日本で作られたことの意味なのかなと前向きに捉えています」と語った。そのコメントには会場から驚きの声と共に、拍手が贈られた。
また、外国語映画賞、監督賞、撮影賞にノミネートされたポーランド選出の『COLD WAR あの歌、2つの心』のパヴェル・パヴリコフスキー監督とアルフォンソ・キュアロン監督は旧知の仲であり、キュアロン監督は『ROMA/ローマ』の脚本をパヴリコフスキー監督に見せていたそうだ。
その際にパヴリコフスキー監督は、「この映画を撮るのはおすすめしない」と言い、何度か諦めるよう説得したそうだ。その時のことを「なぜなら、アルフォンソがやろうとしていることは時間と空間を描くことで、それを脚本に現すのはとても難しいことだから」とパヴリコフスキー監督は説明した。
シンポジウムに先駆けて行われた写真撮影でも、サングラスをかけて写真撮影に臨むパヴリコフスキー監督を茶化し、じゃれていたキュアロン監督。去年から続く賞レースがいよいよ終わる安堵からか、とてもリラックスした雰囲気でシンポジウムに臨んでいた。