ディズニープリンセスが大集合！『シュガー・ラッシュ：オンライン』監督たちが明かす、続編への思い

ゲームの国の住人たちが大集合した『シュガー・ラッシュ』(12)に続き、昨年12月に公開された続編『シュガー・ラッシュ：オンライン』が、デジタル配信中、MovieNEX発売中だ。

アーケードゲームのキャラクター、ヴァネロペとラルフがインターネットの世界へ侵入し、さまざまな“インターネットあるある”を体験する本作。インターネットの世界をパラレル・ワールドと捉え、ネットオークションや動画配信など、私たちが普段当たり前のように接しているインターネットの不思議な側面を浮き彫りにし、また、意外な形でディズニーの住人たちが勢ぞろいする。

このような意欲的なストーリーになったのは、監督のフィル・ジョンストンとリッチ・ムーアの、前作を楽しんだファンへの期待に応えたいという思いが大きかったそう。ロサンゼルス郊外にあるウォルト・ディズニー・スタジオで、監督2人を直撃した。

フィル・ジョンストン監督は本作についてこう語る。「制作を開始する前に、僕らはお互いにこう誓ったんだ。『同じ作品を2度作るようなことはしない』って。成功した前作をノスタルジーでなぞるのではなく、ヴァネロペとラルフの冒険も、テーマそのものも成長させなくてはいけない。前作では、彼らをアーケードゲームの世界から解き放ち新しい冒険をさせた。彼らを再び新しい場所に解き放つにはどこがいいのか？と考えたときに、インターネットの世界を思いついたんだ」。

また、リッチ・ムーア監督は「続編というのは、物語があってキャラクターを創造するのではなく、キャラクターありきで、彼らをどう動かすかで物語を考えることになる。おそらく、『ラルフとヴァネロペは現状維持で、前作の続きです！』って言ってしまえばもっと簡単だったと思うよ(笑)。だけど、ラルフもヴァネロペも前作では未完成のキャラクターで、今作では彼らの成長や友情の細かなディテールを描きたいと考えていた。だから、前作の轍は踏みつつも、まったく新しい世界での冒険をさせることにしたんだ」と振り返った。

誰もが当たり前のように使っているインターネットは、日進月歩で進化している。それを映画のなかに描くために、「インターネットについて、できるだけ正直に描くことを心がけた。『インターネット最高！』と良いことばかりだけでもなく、また、『腐ったビジネスだ』なんて決め付ける気もなかった」というムーア監督。世界中と無限に繋がっていく感覚を恐れながらも楽しみ始めるラルフとヴァネロペの姿は、インターネットに初めて触れたときのことを思い起こさせてくれる。

ジョンストン監督は、「難しいのは、インターネットに対して誰もが異なる思いを抱いているし、異なる繋がり方をしていること。リッチは僕よりSNSを頻繁に更新しているし、僕の父親はまだAOL(アメリカの老舗インターネットプロバイダー)のサービスを使っている。そして僕の子ども達にとって、テレビを観ることとYou Tubeで動画を観ることはイコールだ。誰もがインターネットと異なるレベルで繋がっているため、物語のなかにインターネットをどういう風に入れ込んでいくのかとても難しかった」と思い返した。

ムーア監督が以前明かしていたように、レーサーを目指すヴァネロペのキャラクターは、原宿を歩いている女の子をイメージしてできあがったそうだ。今作のヴァネロペは、ずらりと勢ぞろいしたディズニープリンセスたちにリラックス・カジュアルを伝授する。ヴァネロペが愛される理由について、ジョンストン監督はこう語る。

「お菓子の世界から来たヴァネロペは、ペパーミントキャンディみたいな靴下にフーディを着たヴィジュアルだけで愛らしい。でも彼女の最大の魅力は、かわいい見た目に隠された反逆精神にある。ディズニープリンセスたちと最高にかわいらしい反逆者、という最強の組み合わせなんだ」。確かにヴァネロペのキャラクターは、かわいいだけではなく意思の強さをのぞかせるディズニープリンセスの進化形と言えるかもしれない。

取材・文/平井伊都子