緊迫した展開に一瞬たりとも目が離せない!『ホワイト・クロウ』など“驚愕の実話サスペンス”<5選>
伝説のバレエダンサー、ルドルフ・ヌレエフにスポットを当てた伝記ドラマ『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』が、本日5月10日より公開中だ。“ヌレエフの再来”とも言われるセルゲイ・ポルーニンも出演していることや、ダイナミックで美麗なバレエシーンに注目が集まる本作だが、そんな“光”の側面だけでなく、天才ダンサーの“影”の部分も描かれている。
ヌレエフは、KGB(ソ連国家保安委員会)にねらわれた反逆児でもあったのだ。解放感あふれるパリの街で芸術や文化に触れながらも、一挙一動をKGBに監視される生活を送っていたヌレエフ。彼は旧ソ連から西側へと亡命したことでも知られ、本作ではその裏側を明かす上質なサスペンス要素も存分に描かれている。史実を題材にしたサスペンスには秀作が多いが、ここではそんな作品を振り返ってみたいと思う。
大胆な計画の行方から最後まで目が離せない…『アルゴ』
まずは国外脱出という共通点を持つアカデミー賞受賞作『アルゴ』(12)から。1980年のイラン革命に、この国から米国大使館の職員たちを脱出させようとするCIA工作員の奔走劇が展開。反米の嵐が吹き荒れる中での大使館からの脱出や、カナダ大使公邸から空港での取り調べなど危機が連続して、最後の最後まで目が離せない。レイフ・ファインズが監督を務めた『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』と同様に、ベン・アフレックが監督・製作・主演を務めた‟名優監督による傑作サスペンス“という共通点も。
ジワジワとあぶり出される人間模様に魅せられる『アマデウス』
同じくアカデミー賞受賞作『アマデウス』(84)は、偉大な作曲家モーツァルトの死の謎に迫った伝記ドラマ。品がないのに才能だけは余りある若きモーツァルトと、その師でもあった作曲家サリエリの葛藤にスポットを当てる。侮蔑と憎悪が入り混じる人間模様がジワジワとあぶり出され、こちらもその緊張感に引き寄せられずにはいられない。
リアルな緊迫感にハラハラさせられる『アメリカン・スナイパー』
イラク戦争の英雄となった天才スナイパー、クリス・カイルの人生を見つめた巨匠クリント・イーストウッドの『アメリカン・スナイパー』(14)は、時に子どもをも撃たなければならない…そんな判断を迫られる彼の過酷なミッションを、リアルな緊迫感と共に活写。敵のスナイパーとの攻防も見どころで、息をもつかせずハラハラさせられる。
極限の状況下での攻防がスリリングな『アポロ13』
宇宙飛行士たちの奇跡の生還を描いた『アポロ13』(95)も、緊迫感では引けをとらない。スペースシャトルの故障により命の危機に直面した3人の飛行士たちと、彼らを何としても帰還させようとするNASAの職員たちの奮闘。システムの不具合、酸素不足、電力不足、冷気による体調の悪化など、飛行士たちが直面する危険の連続は、これまたスリリングだ。
ドラマ×亡命劇の描写が見事!『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』
そして注目の新作『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』。芸術とバレエに身を捧げたヌレエフが、いかにして才能を開花させたのか、幼少期からのドラマがつぶさに描かれている本作。KGBに監視されながら窮屈なパリ公演をこなすヌレエフの姿と、過去の不遇を織り交ぜたドラマ…。その果てに待ち受ける、パリ空港での亡命決行のクライマックスは、とてつもなくサスペンスフルで、目を見張らずにはいられない。バレエファンの心を奪う“美”を追求した前半のトーンから一転、観る者の予想を裏切るスリリングな展開へと様相を変えていく。感動の結末ともども、見逃さないでほしい!
文/有馬楽
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