ジャームッシュのゾンビ映画にカンヌ国際映画祭が湧いた!
第72回カンヌ国際映画祭のオープニング作品、ジム・ジャームッシュ監督の最新作『The Dead Don’t Die(原題)』が、5月14日に上映された。アレハンドロ・G・イニャリトゥ審査委員長以下審査員が勢揃いしたオープニング・セレモニーに続いての上映となり、カンヌ常連のジャームッシュ監督らしいオフ・ビート感溢れる作品に賞賛が集まった。
とあるアメリカの田舎町の保安官(ビル・マーレイ)と保安官代理(アダム・ドライバー)は、住民トラブル対処が主な仕事。ところが、平和な町に突然ゾンビが出現し…。前作『パターソン』(16)に引き続きジャームッシュ組に参加したアダム・ドライバーと、『ブロークン・フラワーズ』(05)ほか3作品でジャームッシュと組んでいる常連のビル・マーレイの掛け合いにも注目が集まる。そのほか、ティルダ・スウィントン、クロエ・セヴィニー、スティーブ・ブシェーミ、トム・ウェイツ、セレーナ・ゴメスら常連から新顔まで豪華な顔ぶれが脇を固める。
上映翌日の記者会見においてジャームッシュ監督は、ティルダ・スウィントンを主役に撮った『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』(13)ではヴァンパイアが主役だったが、今作はゾンビ映画という対比について聞かれると、「『オンリー〜』はラブストーリーを目指し作り、『The Dead Don’t Die』のゾンビも異なるものが比喩になっている。自分では過去の作品を見返すことも、対比することもほとんどしないので、いい分析とは言えないんだけど…(笑)」と答えた。
『The Dead Don’t Die』のオープニング上映は、フランス国内の公開日と同日で、フランス中の600館の映画館で開会式のライブ・ビューイング上映が行われたという。「映画館で映画を観る」ことを大前提に掲げるカンヌらしいイベントで、映画ファンもカンヌ国際映画祭を一緒に楽しむことができる。『The Dead Don’t Die』の日本での公開は2020年春を予定している。
取材・文/平井伊都子