“尻子玉”の抜き方が話題に!幾原邦彦監督に聞く、アニメ「さらざんまい」のこだわり
なんだかよくわからないけど、すごいアニメが始まってしまった…!フジテレビ“ノイタミナ”にて放送中のテレビアニメ「さらざんまい」だ。1997年放送の「少女革命ウテナ」、2011年放送の「輪るピングドラム」、2015年放送の「ユリ熊嵐」などを手掛けた幾原邦彦監督の最新作で、毎週衝撃の映像体験が襲いかかってくる。
「女性視聴者に『目が離せない』と思ってもらいたかった」
まず第1話が視聴者を驚かせた。一稀(かずき)、悠(とおい)、燕太(えんた)の中学生男子3人がカッパの姿になり、怪しげな姿をした敵“ゾンビ”と対峙する。「さらー」「さらー」「さらー」「さらざんまい!」と叫び、ゾンビの“尻子玉”を抜き取る。……本作を観ていない人にとってはこの文章を読んでも何がなんだかわからないかもしれないが、観た人も同じなので安心してほしい。
「きっとみんな1話で驚くだろうと思っていました(笑)。だから、『これは一体なんなんだ?』という反応は、ある意味で予想通りではあります」
幾原はいたずらっぽく語る。尻子玉を抜き取るシーンは、スタッフとのミーティングに相当時間をかけたのだという。「尻子玉をどうやって抜くのか、長い時間をかけて『それっておもしろい?』『これ、何回も観たい?』といろいろな案を出して、最後にできたのがあのシーンでした」
そのように出来上がった尻子玉を抜くまでのシーンは、(物語の見せ場としてお決まりのように登場する)“バンクシーン”と言えるだろう。幾原作品の魅力としてこのバンクシーンの活用を挙げるファンは多い。「少女革命ウテナ」では決闘シーン、「輪るピングドラム」では“生存戦略”シーンなど、毎話“お約束”のように入ってきて、時折ズラしてくるバンクシーンが視聴者に鮮烈な印象を与える。「さらざんまい」のバンクシーンにも、コミカルなだけではなく、ちょっとした不気味さ、フェチっぽさ、耽美さがある。
「やっている行為自体は、人のお尻から尻子玉を抜くというものなので、いわば『おぼっちゃまくん』や『クレヨンしんちゃん』のような男の子的なフィーリングなんです。でも女性の視聴者が観ても『目が離せない』と思ってもらいたかったので、女性スタッフの意見はすごく聞きました。尻子玉のシーンも、『これ、許容できる?僕はダメかもと思うんだけど』と聞いたら『イケる!』と返ってきて(笑)。『え、マジで?見たい?』『見たい!』と出来上がっていきました」
幾原作品が女性から強く支持されるのは、女性クリエイターやスタッフの感性を積極的に取り入れているからかもしれない。「ウテナ」では少女漫画家のさいとうちほ、「ユリ熊嵐」では百合漫画家の森島明子をキャラクターデザインに起用している。「さらざんまい」の制作スタジオ、ラパントラックのスタッフは半分が女性だ。「スタッフのいろいろな感性が反映されています。男性キャラがかっこよく描かれているシーンは、女性スタッフのこだわりと熱気が詰まっています!」と幾原は語る。
フジテレビ:毎週木曜24:55~
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