『トイ・ストーリー4』監督が明かす、ウッディの新たな冒険。さらなる続編の可能性は?
「『トイ・ストーリー3』でウッディとアンディとの物語は終わったけれど、まだウッディ自身の物語は残っている」。1995年に世界初の全編フルCGの長編アニメーション映画として誕生して以来、世界中の子どもから大人まで幅広い世代の心をつかんできたディズニー/ピクサーの代表的シリーズ「トイ・ストーリー」。その長編最新作となる『トイ・ストーリー4』(公開中)でメガホンをとったジョシュ・クーリー監督が、4作目誕生のきっかけについて語った。
「ピクサーではいつもアイデアの種をたくさん出していて、それをどうやって発展させていくのか、また映画にすべきかどうかということを考えている」と、これまでも数々のクリエイティビティに富んだ作品を世に送りだしてきたピクサーのポリシーについて語る。そして「正直なところ3作目はとてもパーフェクトな結末を迎えただけに、4作目を作るべきか考えたんだ。でもウッディは新しい部屋でボニーという新しい子どもといて、いままでとはまったく違う状況で暮らしている。きっと新しい話が生まれるのではないかと感じたんだ」と、9年ぶりの長編となる本作が、これまでとはまったく違う新たな物語になっていることを示唆した。
カウボーイ人形のおもちゃウッディが、“スペースレンジャー”のバズ・ライトイヤーと出会い、幾多の困難を乗り越えながら友情を育んできた「トイ・ストーリー」シリーズ。最新作では、持ち主だった少年アンディからおもちゃを譲り受けた近所に住む少女ボニーのもとで暮らしているウッディたち。ある時、ボニーが幼稚園で自ら手作りしたお気に入りのおもちゃ“フォーキー”がいなくなり、探しに出るウッディ。なんとかフォーキーを見つけ、ボニーの元へと戻る途中で、ウッディはかつてアンディの部屋で一緒に暮らしていた羊飼い人形のおもちゃ、ボー・ピープと再会することになる。
「ボーをウッディの人生に戻そうという考えは、企画当初からあったアイデアだった」とクーリー監督は明かす。1作目と2作目でのボーの登場シーンはわずか数分足らず。「観直してみると、ウッディが混乱したり迷ったりする時にはいつもボーがそばにいて、アドバイスをして勇気づけていた。とても大切な役割を果たす強いキャラクターなんだ」と、ボーというキャラクターの大きさについて語るクーリー監督。「3作目でボーが新しい家に行ったことをレックスが語るシーンがあった。それだけでとても感傷的な場面になっていたから、彼女を前面に出した作品を作ってみようという話になったんだ」。
ボーとの再会によって、ウッディはある大きな決断に直面することになる。「映画の主人公はいつも価値観や考え方が変化していかなければならない。ボーに会うことでウッディは視野が広がる。自分が想いを向ける子供のための存在から、すべての子どものために存在するおもちゃへと、もっと大きな役目を感じるようになるんだ」と、これまでよりも精神的に成長したウッディの姿が見られることを明かす。
「でも思い返してみれば2作目では棚の奥で埃をかぶっていたペンギンのおもちゃウィジーをヤードセールから救ったり、3作目のラストで屋根裏に連れてかれそうになった仲間たちをボニーの部屋に行けるようにしたのもウッディだ。それは、何もしないよりは子どもに遊んでもらえる方がいいという想いがあるからで、4作目でも同じだ。つまり、彼はずっと同じことをやってきたと言えるかもしれないね」と、ウッディへの敬意を込めて語った。
そして「おもちゃの務めは子どものためにいること。それは変わっていない」と、長年守り抜いてきた「トイ・ストーリー」シリーズの最も重要なスピリットが最新作にもしっかりと根付いていることを断言するクーリー監督。おそらく、本作を観た多くのファンが期待するであろう5作目製作の可能性については「いまのところ、まだその予定はないんだ」とのことだが、「この4作目でウッディというキャラクターの物語にはひと区切りが付いたと僕は思っている。バズと出会い、親友になって、もっと大きな目的に目覚めていく。ウッディの旅路は、ここでひとつ終わりを迎えたんだ」と、かすかに含みを持たせながら微笑んでいた。
取材・文/久保田 和馬