『天気の子』新海誠監督に、読者の疑問をぶつけてきた!野田洋次郎への愛の告白(!?)から、夏美の就職先まで一挙に解答

インタビュー

『天気の子』新海誠監督に、読者の疑問をぶつけてきた!野田洋次郎への愛の告白(!?)から、夏美の就職先まで一挙に解答

「最近観ているアニメは?」(10代・男性)

「制作中は忙しくて、なかなか観られませんでした。『海獣の子供』も観に行きたかったんですが、行けなくて…。作業が佳境に入る前に『スパイダーマン:スパイダーバース』は観に行きました。僕がやりたいのはこちらの方向ではないなとも思いながらも、新しい映像表現でものすごくおもしろかったです」

「作品の内容はもちろん大好きなんですが、それと同様、色使い、色の表現も毎回心躍るくらい引き寄せられます。新海誠作品の中で、一番大事にされてる色は何色でしょうか?毎回テーマ色みたいなのはあるのでしょうか?」(30代・女性)

パーカーの“白色”にも注目!
パーカーの“白色”にも注目![c]2019「天気の子」製作委員会

「つまらない答えかもしれないですが、アニメーションにおいて技術的には“白”が一番大事な色です。白というのは、周りの環境をもっとも受ける色で、すごく色を作るのが難しいんです。例えば『天気の子』の陽菜は白いパーカーを着ていますが、カットごとにピックアップしてよくよく見てみると、緑だったり、青だったり、ピンクだったりすると思うんです。それは周りがどういう色なのかによって、白という色が変わるからなんですね。環境の影響を一番受けるのが、白。白をどんな色にするかで、そのシーン全体が大きく変わるので、一番大事な色は白です」

「今回この映画の結末に帆高など様々な人物の決断がありますが、その決断には僕には愛の大きさを感じました。新海監督が考える最も強く大きく人を動かす感情は愛でしょうか。それとも他の感情でしょうか」(10代・男性)

美しい風景描写にも感情を揺さぶられる
美しい風景描写にも感情を揺さぶられる[c]2019「天気の子」製作委員会

「どの感情に動かされるかは人それぞれかと思います。僕自身は喜怒哀楽でいうと、“哀”ですね。人によって、うれしいことが原動力になったり、怒りが原動力になったりする人もいると思いますが、僕はどうしても“哀”や“せつない”といった感情に惹きつけられます」

「自分はいま、高校2年生です。将来何を目指したいか全く決まっていなかったところ新海誠監督の影響を受けて映画製作に関係できるような仕事に就きたいと思いました。そのためにはいまはなにを勉強したら良いのでしょうか?」(10代・男性)

「なにをやりたいかにもよると思うんですが、もしアニメーターになりたいとしたら、たくさん絵を描くことが大事だと思います。いまはネットなどでも無料で勉強できる方法がありますから、絵を描けば描くほど、勉強になると思います。また僕のように、脚本を書いたり、監督としてやっていきたいならば、いま持っている感情、例えば『あの子が好きだ』『この先生が嫌いだ』『あの友達が憎くて仕方ない』とか、もちろんもっとポジティブなことでもいいんですが(笑)、そういったいま持っている一番強い気持ちを、鮮やかに心に保存しておくことが大事だと思います。喜怒哀楽の鋭さは、年を重ねるごとに柔らかくなってしまうもの。10代に感じた“激しさ”を記憶しておくと、30代、40代になってものづくりをする時に、大きな水源のようなものになると思います」

「新海監督は、ここ数年は“3年周期”で作品を世に送り出しています。次回作の構想があれば教えてください」(10代・男性)

「漫画や小説のように、もっと早く新作を送りだせるといいんですが、アニメは手間がかかるので、3年が最短だと思っています。5年、6年とかかる作品もあると思いますが、あまり時間をかけすぎると、その時にやりたいことと、お客さんが観たいことがちょっとずつズレいってしまうような気もしますので、3年くらいが理想的なのかなと思っています。もし夏休みというものがあるならば、次の映画のことを考え始めたいですね。早く作らないと、また3年後に見ていただけるかわからなくなりますから。構想は、まだゼロですが…。これから頑張ります!」

『天気の子』をスクリーンで何度も観て、監督の答えと照らし合わせてみて!
『天気の子』をスクリーンで何度も観て、監督の答えと照らし合わせてみて![c]2019「天気の子」製作委員会

取材・文/成田 おり枝

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