綾瀬はるか「私はトンチンカン」! 『プリンセス トヨトミ』完成
『鴨川ホルモー』(09)の人気作家・万城目学の直木賞候補作品を映画化した『プリンセス トヨトミ』(5月28日公開)が完成。出演の堤真一、綾瀬はるか、岡田将生、中井貴一、鈴木雅之監督、原作者の万城目学が登場し、記者会見を行った。
国家予算の使途を調査するため、“鬼の松平”として怖れられている松平(堤真一)ら3人の会計検査院の調査官が大阪にやって来た。彼らは順調に調査を進め、次の調査団体のある空堀商店街を訪れる。その一角で、お好み焼き屋「太閤」を営む真田幸一(中井貴一)の息子・大輔(森永悠希)は、女の子になりたいという悩みを抱えていた。また大輔の幼なじみ・橋場茶子(沢木ルカ)は、男勝りな性格だった。そんな中、松平らは財団法人OJO(大阪城跡整備機構)に不信な点を感じる。だが、その疑惑が本当だとすると、大阪中が口裏を合わせていることになる。再びOJOを訪れた松平の前に現れたのは、お好み焼き屋「太閤」の主人・真田幸一。彼は自らを大阪国総理大臣だと名乗り、その言葉に耳を疑う。松平ら3人は、大阪にまつわる底知れぬ謎に巻き込まれていく。
“鬼の松平”という無駄遣いに厳しい調査官役・松平を演じた堤真一は、「原作を読んで、ぶっ飛んでいて大変面白いお話だなと思ったんですが、これをどう映像化するのかと思ったし、撮影が終わってからも一つの作品として成立するのか不安でした。自分が出ている作品は冷静に見れなかったりするんですが、この作品は単純に面白いと思った。それは鈴木監督の手腕。監督は普段一緒にお酒を飲んでいる時は、どうしようもないオッサンですが、さすがだなと思いました」とできあがりに大満足の様子だった。
女性調査官・ミラクル鳥居を演じるのは綾瀬はるか。綾瀬はドラマ「鹿男あおによし」など万城目作品への出演歴があり、そのコミカルな演技にも注目が集まっている。綾瀬は「私の演じた鳥居は、仕事に一生懸命ですが、マイペースで少しズレているところがある、そのズレが思わぬところで奇跡を起こす。この物語は実際にありえないお話ですが、実際に見ると、こんな世界もあるのかなとリアルに感じることもできて壮大な作品に仕上がっています。歴史上の人物も結構出てきて、自分が探検するような気分になれるのでワクワクします」と作品の魅力を語った。
新人エリート・旭ゲンズブールを演じた岡田将生は、「今回は諸先輩方に迷惑をかけないよう注意を払っていました。中井さんや堤さんの側いると背筋がピンとなります」と緊張した面持ち。そんな岡田に対し、堤は「こいつ、俺のことおっちゃんって言うんですよ」と、昨年の夏に行われた撮影の合間、「セミの死骸をこいつ(岡田)に見せると、人はこんな顔をするのかというくらい驚いて面白かった」と岡田へのいたずらエピソードを披露し、岡田は「そんなことをするから、親戚のおじさんっぽいんですよ」と仲の良さを見せた。
お好み焼き屋の主人で、実は大阪国総理大臣という役柄を演じた中井貴一。中井は「この作品は謎解きの多い作品。何をしゃべっちゃいけないのかを確認したところ、僕が出演しているところはほとんど話せないようなので、何も話せません(笑)。日本中の都道府県の中で、どこか独立してる都市があるとするならば、大阪以外考えられないだろうと思わせる説得力がある」と語り、また役作りについて、「橋本府知事を参考にしていました。橋本さんは、テレビなどマスコミ向けには関西弁を使わずに、関西の人とは関西弁を使う。そんなところをパクッたりしました」と今回の役作りのコツを明かした。
原作者の万城目学は「僕は大阪出身で大阪が好きなのでこういう作品を描きました。関西の人は、自分の生まれ育ったところが舞台になっているので嬉しいと思う。ちゃんとエンターテインメントで、たまらんテイストで撮ってもらった。幸せ者だなと思います」とコメント。
メガホンをとったのは『HERO』(07)の鈴木雅之。鈴木監督は、「万城目さんの作品は、現実的ではないが、ノーマルでないものをみんなでワイワイ言いながらまとめ上げるので、やり甲斐があります。こんな奇想天外な話を、これだけの役者さんたちが大真面目にやってくれるのは、映画を撮っている者にとって幸せなこと。この映画は大阪が一致団結することがテーマの映画。今、日本が一つにならなければいけない時期なので、多くの人に見てもらいたい」と語った。
また、堤が綾瀬のキャラクターについて、「綾瀬さんは僕の知ってる人の中でも群を抜いて天然。大阪城のライトアップを見ていて、『堤さん、お寺ってやっぱり良いですよね』って言って、『間違った、神社だ!』と言った」と綾瀬エピソードを披露。岡田は「僕もその場にいましたが、やっぱり変わってるんだなと思いました」とコメントし、中井は「僕は綾瀬さんが天然ではなく、トンチンカンだと思う」と言うと綾瀬は、「自分でもトンチンカンっていう言葉が一番当たるかなと思います」とキュートな笑顔を見せた。
「豊臣秀吉の末裔が生きていた」「大阪が国家として独立していた」など、奇想天外な設定で見る者を引き込む物語が展開する『プリンセス トヨトミ』の公開は5月28日(土)。摩訶不思議なエンターテイメントの登場を心待ちにしてほしい。【取材・文/鈴木菜保美】