【連載】「尾崎由香のぴゅあっとムービー」2月 今月の映画:『ジュディ 虹の彼方に』
映画好きで知られる声優・尾崎由香が、鑑賞した映画や自身のあれこれについて語る「尾崎由香のぴゅあっとムービー」(「月刊シネコンウォーカー」&「月刊イオンエンターテイメントマガジン」連載中)。今月は、17歳で出演した映画『オズの魔法使』で一躍スターとなった伝説のミュージカル女優ジュディ・ガーランドが、47歳の若さで急逝する半年前を描いたドラマ『ジュディ 虹の彼方に』(3月6日公開)を取り上げる。
舞台は1968年。かつてミュージカル映画の大スターだったジュディは、度重なる遅刻や無断欠勤で映画出演のオファーも途絶え、巡業ショーで生計を立てていた。住む家も無くし、借金は膨らむばかりの彼女は、やむなく幼い娘と息子を元夫に預け、ロンドンのクラブに出演するために独り旅立つが…。
ジュディ役に扮したのは、『ブリジット・ジョーンズの日記』シリーズで知られるオスカー女優レネー・ゼルウィガー。厳しいレッスンを重ね、徹底した役作りを行った彼女は劇中で全曲を自ら歌い上げており、ゴールデン・グローブ賞のドラマ部門主演女優賞を受賞。第92回アカデミー賞でみごと主演女優賞に輝いた。名女優の渾身の演技を堪能できる本作を、彼女はどのように観たのか?
やっぱり“ステージの上”っていいなって
わたしは幼いころからお芝居をやっているんですが、実はそのきっかけでもあるのが『オズの魔法使』なんです。劇中歌の「虹の彼方に(オーバー・ザ・レインボー)」にも愛着があったから、絶対この作品を観て昔の自分を思い出さなきゃって思ってました。
女優としてのジュディ・ガーランドはあまり意識したことがなかったんですが、映画を観て、光の当たらない、ステージに立つまでの葛藤や、一人の母親として懸命に生きようとしている姿から“人間らしさ”が感じられて、とてもよかったですね。
たとえ楽屋で震えていても、舞台上で力強く歌い上げる様子は圧巻。本当の話だからこそ、ジュディ本人も、演じたレネー・ゼルウィガーも、どちらのスゴさも感じられました。
あと、ステージ衣装が綺麗ですてき! 普段の服装もよかったし、花柄とかスカーフとか、かわいいしオシャレです。いま着ても全然古く感じなさそうだから、真似してみたいなって思って観てました。
わたしがステージに立つ時は、あまりナーバスになることはなくて、むしろ楽しみだから早くステージに上がりたいって思っちゃう。メイクをして衣装を着ると、すごくアドレナリンが出るのがわかるんです。
劇中のクライマックスで、ジュディと客席のやりとりの感動的な場面があるんですが、会場が大きくても小さくても、客席の皆さんの顔ってちゃんと見えるし、自分のパフォーマンスにも影響するんですよね。
みんなが喜んでくれると頑張らなきゃ!って力をもらえるというか。みんなで一緒の空間をつくり上げてるんだと感じられて、やっぱりステージっていいな、支えられてここに立ってるんだなって実感します。
おざきゆか◎1993年生まれ、東京都出身。15年より声優活動を開始し、17年にテレビアニメ「けものフレンズ」のサーバル役に抜擢され注目を集める。18年には「LET’S GO JUMP☆」でソロデビューを果たし、19年8月に1stソロアルバム「MIXED」をリリースするなどアーティストとしても活躍中。今年1月からは舞台「DECADANCE-太陽の子-」にも出演を果たした。Twitter/@ozaki_yuka515 Instagram/ozapure15
取材・文/編集部