『ミッドサマー』からブラック・ウィドウの“妹”まで…新星フローレンス・ピューがアツい!<写真13点>
惜しくも受賞を逃したものの今年のアカデミー賞に初ノミネートされるなど、このところ特に注目を集めている新進女優・フローレンス・ピュー。この新星の出演作が、夏にかけて立て続けに公開となるので、気になる作品と役どころをチェックしていきたい。
その前にまずは、彼女の経歴を簡単におさらい。英国オックスフォードで生まれた現在24歳のピューは、俳優、ミュージシャンとして活躍するトビー・セバスチャンを兄に持ち、彼のあとを追うように2014年にミステリー映画『The Falling』でデビュー。2016年に『Lady Macbeth』で主人公のキャサリン・レスター役を演じると、数々の賞を受賞してブレイクし、その後も『トレイン・ミッション』(18)では列車内で起きた騒動に巻き込まれるパンキッシュな女性を、『ファイティング・ファミリー』(19)ではプロレス団体WWEにイギリスから単身乗り込み、逆境に立ち向かっていく主人公を演じ、着実にキャリアを重ねてきた。
そんな彼女の最新主演作が、アメリカの大学生グループが90年に一度の祝祭が行われるスウェーデンの田舎に足を運んだことをきっかけに、想像を絶する事態に遭遇する『ミッドサマー』(公開中)だ。ピューは本作で、家庭や彼氏との関係に問題を持ち、精神的に不安定な主人公のダニー役を演じている。
予想外の出来事に心をかき乱され、ことあるごとにパニクってしまうダニー。そんな役柄を観ている側まで不安を覚えてしまうような迫真の演技で体現し、作品の不穏感をあおっていく。戸惑いながらも徐々に儀式に陶酔し、ありのままの自分を解放。そしてクライマックスでダニーが見せる表情ときたら…。彼女の複雑な心の揺れをピューは巧みに表現し、スクリーンで抜群の存在感を放っている。
精神的に不安定な演技が光った『ミッドサマー』から打って変わり、快活な姿を見せているのが、ルイーザ・メイ・オルコットの世界的名著をグレタ・ガーウィグ監督が映画化した『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(初夏公開)だ。冒頭でも述べた通り、本作でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされたピューは、4姉妹の末っ子のエイミーを演じている。
エイミーは、末っ子らしくわがままなところがあり、おしゃまで少し嫌味な少女…と原作を読んだことがある人ならそう思うかも知れない。しかし本作ではそういった一面もありながら、画家を志すも才能と現実との間で葛藤したりと、繊細な女性として描かれており、そんな人間らしい姿を、ピューはメリハリのある演技で強調。観るものが思わず共感してしまうキャラクターへと昇華されたエイミー役へのアプローチは、オスカーノミネートも納得だ。
「アベンジャーズ」シリーズで知られるMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の最新作『ブラック・ウィドウ』(5月1日)にもピューは出演。ブラック・ウィドウことナターシャ・ロマノフのロシアでの知られざる過去が描かれる本作で、ピューが演じているのは、ナターシャが“妹”と呼び、彼女同等の戦闘能力を持つエレーナだ。マーベル作品だけにアクションに注目が集まるが、『ファイティング・ファミリー』でも激しいアクションを披露していただけに、ピューへの期待は大きい。
演技はもちろん、歌のうまさも光り今後も幅広い役に挑戦するであろうフローレンス・ピュー。いま注目の新星から目を離さないでほしい!
文/トライワークス