“静と動”の演技が光る!『楽園』『Fukushima 50』に見る名優・佐藤浩市の凄味
「悪人」や「怒り」で知られるベストセラー作家、吉田修一の「犯罪小説集」を『64-ロクヨン-』2部作などで知られる瀬々敬久監督が映画化した『楽園』(19)が現在、iTunes Store、ひかりTV、U-NEXT、dTV、Amazon Prime Videoほか各サービスにてデジタル配信中だ。綾野剛、杉咲花ら豪華俳優陣が集結した本作より、今回は孤立を深めていく男の悲哀を繊細な“静”の演技で表現した佐藤浩市の魅力に、本人や綾野のコメントを引用しながら迫ってみたい。
ある地方都市で少女失踪事件が発生し、未解決のまま12年が経過。孤独な青年・豪士(綾野)と少女の友人・紡(杉咲)は、不幸な生い立ちや過去に受けた心の傷から、互いに共感していく。そんな時、12年前と同じ場所で再び少女が失踪したことから、2人の運命が狂い始める。そして、その負の連鎖は事件現場のY字路の先にある過疎集落に暮らす初老の男・善次郎(佐藤)にまで広がっていく…。
全力の“動”の演技でぶつかる『Fukushima 50』とのギャップ
3月に公開されたばかりの『Fukushima 50』(フクシマフィフティ)では、東日本大震災に伴って発生した福島第一原発事故で、未曾有の大災害に挑む当直長の伊崎利夫役を演じた佐藤。この作品では、事故の最前線を指揮する者として、部下たちを冷静にまとめ上げ、時には情熱的に鼓舞する伊崎を全力の“動”の演技で役にぶつかっている。
徹底的に抑えた“静”の演技が光る『楽園』
一方、『楽園』では徹底的に抑えた演技が光る。佐藤演じる善次郎は高齢者ばかりの集落で、養蜂による町おこしを提案するが、村社会独自のルールを踏まなかったことから、住人たちの不興を買ってしまう。必死に弁解に奔走する善次郎だが、一度もつれた糸がほどけることはなく、村八分に遭い孤立を深め、しだいに正気は失われていく。
この役柄について佐藤は、「掛け違えたボタンを掛け直すこともできずに、自分で一番望まない所に向かってしまう。そんな弱者がいるという事を、観て考えて頂けたら嬉しいなと思います」と語る。
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発売・販売元:ハピネット
■『Fukushima 50』(フクシマフィフティ)
ミレール、ニコニコ生放送、Amazon Prime Video、U-NEXTほかにて期間限定で配信中
公式HP:https://www.fukushima50.jp/