『一命』世界41ヶ国への配給が決定! 市川海老蔵、瑛太へラブコール「敵役などで再共演したい」
滝口康彦の「異聞浪人記」を映画化した『一命』の初日舞台挨拶が10月15日、丸の内ピカデリーで行われ、出演者の瑛太、満島ひかりと三池崇史監督が登壇。名古屋での歌舞伎公演のため、残念ながら舞台挨拶を欠席した市川海老蔵からは手紙が届けられ、娘を演じた満島への「不甲斐ない父ですまなかった」というメッセージに、満島は「不甲斐ないってどんな意味なんですかね。色々な意味が含まれているのでしょうか(笑)」と、過去の騒動を思わせる発言で笑いを誘った。
市川にとって、2作目の映画出演となる本作。市川からの手紙には、自身の役柄への思いと共に、「現代社会にも『一命』で描かれるような不条理なことがたくさんあるかと思いますが、皆様も大切なものを守るため、立ち向かう強さと勇気を持っていただけたら」と観客へのメッセージが。瑛太へは「瑛太くんの熱さには火傷しそうでした。次は敵役などで再共演したいですね」とラブコールを送り、三池監督へは「愛と刺激を与えてくださってありがとうございました。たとえ離れていても、私の心の中には三池監督がいます」という熱い思いが届けられた。三池監督は「いないのに全部持っていって、できすぎ(笑)。でも、彼は本当に魅力的な男ですよ。今回の映画を撮影するまで、存在は知っていたけど、彼の芝居は見たことがなかった。そこで、歌舞伎を見に行ってみたら、存在感がすごいんです。彼の方からスタッフにもすっと近づいてきてくれて、スタッフからも愛されていました。絶滅危惧種というのかもしれないけど、本当のスターです」と称えた。市川と満島は、同時期に家族を持ったことから、互いに家族のことを話したといい、市川の印象を「やんちゃな部分もあるのかもしれませんが、よく見ていると、海老蔵さんの中に縮こまって座り込んでいる寂しん坊の少年が見えた気がします」と明かした。
本作について、三池監督は「時代劇は僕らが子供の頃、日本が元気で、撮影所もまだ元気だった時代に、普通に作られていたものです。ですから今回は、そういった伝統を絶やさないための大冒険でもありました。海老蔵さん、瑛太さん、満島さんなど、個性の強い人たちが、スクリーンの中で静かにぶつかり合うのがとても映画的でした。今回の作品は、小さなこだわりから僕を解放してくれた映画でもあります」と作品への思いを語った。切腹シーンの撮影を振り返り、瑛太は「細かい記憶が残っていないほど辛かったです。撮影していて実際に苦しかったのですが、三池監督がずっと付き合ってくれて、細かく指導してくれたのが忘れられません」と。その時の心境を明かした。
また、本作がフランス、ドイツ、オーストリアなど、世界41ヶ国への配給が決定したことが発表され、三池監督は「すごく嬉しいですね。感謝します。日本人にしか作れない世界だと思うので、映画を見てくれた方が、『一命』をきっかけに別の時代劇をや日本映画を見てくれたら良いなと思います」と喜びを語った。既にカンヌ国際映画祭、釜山国際映画祭などへの参加を果たしている本作は、今後、ロンドン映画祭などへの参加も予定されている。【Movie Walker】