市川海老蔵が娘たちの手紙に「はずかしい」と照れ笑い
一人の武士の壮絶な生き様を描いた3D時代劇『一命』の大ヒット舞台挨拶が10月23日、ミッドランド スクエア シネマで行われ、主演の市川海老蔵と三池崇史監督が登壇し、タッグを組んだ感想などを語った。
滝口康彦の「異聞浪人記」を原作に、貧しさのあまり、井伊家で切腹事件を起こした若浪人と、その敵を討つ舅の物語が展開する本作。市川は、娘婿の敵を討つ武士・半四郎を演じている。
現在、名古屋で歌舞伎公演中で、その合間を縫っての登壇となった市川に、娘婿を演じた瑛太と娘を演じた満島ひかりから(初日舞台挨拶に送った)手紙の返事が届けられ、観客に披露することに。娘を演じた満島から「海老蔵さんの立ち姿を、その大きな背中を見ているだけで、気持ちが凛としました。同じ映画の中で生きていることを、誇りに思います」とメッセージを贈られた市川が、「恥ずかしいな」と照れ笑いを浮かべる場面も。
一方、娘婿役に扮した瑛太からの「敵役で共演する機会があるならば、私はバストを30cmほどアップして挑みたいと思います」とのメッセージには、「負けないよう頑張りたいと思います」と返し、冬に行われたという撮影合間に、結婚生活の話をよくしていたことを明かした。
メガホンをとった三池監督については「いつも心のどこかにいる存在。芝居の距離感や間の取り方が衝撃的で、何かするたび監督ならどうするんだろうって考えるようになりました」と語り、「ご飯食べてる時も、監督は何を食べてるのかなあ、なんてね」と冗談めかして言うなど、会場を沸かせていた。
そんな三池監督は市川を「(歌舞伎などで)普段から修行を積んでいる人間にしか出せない佇まいがある。刀を持って座っているだけで、サムライになれる。すごく美しいと思いました」と絶賛。また本作が3Dであることにも触れ「海老蔵さんは飛び出しませんが、日本家屋の床の間や花瓶に生けた花など、日本の奥ゆかしさや美意識を3Dで表現したつもりです」と語った。
終始、満席の会場から飛んでくる「成田屋!」のかけ声に笑顔で応えていた市川は「痛いところもあるけれど、(根底に流れる)温かい心を感じていただけたら」と作品をしっかりとアピール。命をかけて己の信じる義を貫き通した、ふたりの武士の壮絶な生き様を描いた『一命』。半四郎が見てきた武士の世界を体感してもらいたい。【取材・文/大西愛】