深津絵里と東出昌大の頭がパックリ!特筆すべき『寄生獣』の再現度とは?
いよいよ11月29日(土)に公開が迫った、岩明均のSFコミックを実写映画化した『寄生獣』。突如出現した人間を襲う寄生生物たちと、その中の一匹の寄生生物を右手に宿してしまった高校生による数奇な戦いが活写される。衝撃的な内容でカルト的人気を誇り、長年映像化が切望されてきたが、今回の映画ではその再現度とキャストのハマりっぷりが注目を集めている。
主演の染谷将太が演じるのは、草食系の冴えない高校生・泉新一。同級生の里美(橋本愛)にもおちょくられるほど気弱な彼だが、ひょんなことからパラサイト・通称“ミギー”が自分の右手に寄生したことから強く野性的な男に成長していく。染谷は高い演技力を活かし、そんな新一の変貌ぶりを表現しながらも、意思を持った右手とのコミカルなやりとりを一人二役のように演じて作り上げている。
変幻自在の右手・ミギーは、最新のVFXを駆使して実体化されており、大きな目玉に丁寧なしゃべり方まで、まさにコミック通りの仕上がりに。モーションキャプチャーを担当した阿部サダヲが声だけでなく動きまで体現し、新一の“キモカワイイ”相棒に命を吹き込んでいる。
また、人間になりすまし、社会に溶け込みながら人を捕食しているパラサイトたちの完成度にも注目したい。教師として新一の学校に赴任してくる冷徹な“田宮良子”と、一見普通の高校生の“島田秀雄”は原作でも印象的なキャラクターだが、本作では深津絵里と東出昌大が無感情のパラサイトに成り切っている。田宮が眼力だけで新一たちを圧倒したり、島田が何かを企んだような不気味な笑みを浮かべたりと、深津と東出の冷ややかな演技はとにかく怖い。また、田宮と島田の頭が突如がパックリ割れ奇怪に変形するなど、“寄生獣”ならではのショッキングな描写も満載だ。さわかやなイメージを持つ深津と東出本人たちとのギャップが、パラサイトの恐ろしさをより強調させている。
日本映画界屈指のVFXの達人である『永遠の0』(13)の山崎貴監督が、実写化不可能と言われ続けた原作に対し、自ら名乗り上げて完成させた本作。キャストの熱演と高い再現度で具現化したハイクオリティな“寄生獣”の世界に、原作ファンならずともきっと虜になるはず!【トライワークス】