ブライアン・シンガーと大森一樹がゴジラ話で大盛り上がり!
第28回東京国際映画祭のコンペティション部門審査委員記者会見が10月23日にTOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、審査委員を務めるブライアン・シンガー、トラン・アン・ユン、ベント・ハーメル、ナンサン・シー、スサンネ・ビア、大森一樹が出席した。
各国から集まった計16作品でグランプリを競うコンペティション部門。日本からは、『さようなら』(11月21日公開)、『FOUJITA』(11月14日公開)、『残穢(ざんえ)―住んではいけない部屋―』(16年1月30日公開)の3作品がノミネートされている。
『X-MEN』シリーズで知られる審査委員長のシンガー監督は「いい映画祭とはどんな映画祭か?」と問われると、「今回はホラーまで参加している。これはとても勇気のあること。『映画祭はこういうものを出せば大丈夫かな』というのではなく、これだけ多岐にわたるジャンルが参加しているのはすばらしいことだと思う」とバラエティ豊かな作品群に敬意を表し、それだけに「判定するのが難しい」と苦労も吐露。
日本から審査委員に選ばれた大森監督は「この30年は産業革命といわれるくらい、映画のかたちが変わってきた。フィルムからデジタルに変わったりと、自分もまだ混乱の中にいるような感じ」と映画を取り巻く環境の変化についてコメント。「今回、世界がどのように産業革命に対応しているのか答えが出ればいいなと思っている。その中でヒントを与えてくれる映画があればベストな映画にしたい」と意気込みを明かした。
また、「日本の監督で影響を受けた人はいるか?」との質問には、外国の審査委員一同から「黒澤明」の名前が挙がり、ユン監督はさらに「溝口(健二)、小津(安二郎)、成瀬(巳喜男)、柳町(光男)、橋口(亮輔)、是枝(裕和)。私は日本映画がとても好きで。日本映画から学ぶことは今でもたくさんあります」と日本映画への愛情を語っていた。
世界のフィルムメイカーから黒澤への影響が語られたことに、大森監督は「すごく感激している」とコメント。シーが「大森監督の『ゴジラ』にもかなり影響を受けております」とテーマ曲を歌いながら話すと、シンガー監督も「確かにそうだ!」と激しく同意。「映画人は黒澤の影響を受けているが、アメリカの3000万人以上の人たちは、誰に影響を受けているか?と聞かれたら、日本の『ゴジラ』というよ」と楽しそうに続けると、平成ゴジラシリーズを手掛けた大森監督は「とても光栄です」とうれしそうな表情を見せていた。
「こんな映画をつくって今度は我々で東京国際映画祭に来よう!」とアイディアを出しあうなど、終始和気あいあいとした雰囲気で進行した審査委員会見。抜群のチームワークを見せつつ、これからの審査期間に意欲をみなぎらせていた。【取材・文/成田おり枝】
会期:10月22日(木)~31日(土)
開催場所:【六本木エリア】TOHOシネマズ 六本木ヒルズ【新宿エリア】TOHOシネマズ 新宿、新宿ピカデリー、新宿バルト9新宿【他エリア】歌舞伎座、神楽座
http://2015.tiff-jp.net/ja/
<コンペティション>
『スリー・オブ・アス』
『ボーン・トゥ・ビー・ブルー』
『カランダールの雪』
『家族の映画』
『FOUJITA』
『フル・コンタクト』
『ガールズ・ハウス』
『神様の思し召し』
『残穢(ざんえ)―住んではいけない部屋―』
『地雷と少年兵』
『モンスター・ウィズ・サウザン・ヘッズ』
『ぼくの桃色の夢』
『ニーゼ』
『ルクリ』
『さようなら』
『スナップ』