草刈正雄の魅力は「シャイなかっこよさ」伝説のキャメラマンが語る角川映画の名優たち

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草刈正雄の魅力は「シャイなかっこよさ」伝説のキャメラマンが語る角川映画の名優たち

パワーあふれる角川映画48作を上映する「角川映画祭」を開催中の角川シネマ新宿で8月6日にトークショーが行われ、映画キャメラマン・仙元誠三が登壇。松田優作、草刈正雄、薬師丸ひろ子ら名優陣との撮影秘話を明かした。

仙元は、1969年の『新宿泥棒日記』で撮影監督としてデビュー。今回の「角川映画祭」では、『蘇える金狼』『野獣死すべし』『セーラー服と機関銃』『汚れた英雄』『里見八犬伝』『Wの悲劇』など、仙元が撮影監督を務めた11作品が上映されている。

1982年の『汚れた英雄』では、オートレースシーンの迫力ある映像を捉えた。大変な撮影だったことが予想されるが、仙元は「大変ということはない。私は仕事が大きければ大きいほどやりがいがあるし、そんなことをやらせてくれることが楽しい」と映画への前のめりの姿勢を告白。

劇中でレーサー兼ジゴロの役を演じたのが、NHK大河ドラマ「真田丸」の真田昌幸役でも注目を浴びている草刈だ。ジゴロとして美しさを放つ草刈だが、仙元は「私が美しく撮ったんじゃなくて、草刈が日本人離れしたシャイなかっこよさを持っていた」と話していた。

また松田優作については、「野生人間。行動が敏感で野生の動物と一緒」と印象を吐露。薬師丸ひろ子については、「映画屋は朝でも昼でも夜でも『おはようございます』と言うんだよと言ったら、『私は一般の人と同じようにやります』と言う。芯が強いと思った。若いけれど、見習わないとと思った。普通の女優さんとは何か違うと感じた」とその人間力・女優力を絶賛。『セーラー服と機関銃』の相米慎二監督と薬師丸の間には「お互いに見抜いて、見抜かれて、理解する」という関係性が見えたようで、「ちょっと嫉妬した」と話して会場の笑いを誘っていた。

「78歳になった」という仙元。「『仙元でいいや』と使ってくれた監督さんに本当に感謝しています。また、映画を観てくださる方がいるから、ここまで来られた」と喜びを噛みしめつつ、「わんぱく親父で死にたい」とお茶目な笑顔を見せると会場からも大きな拍手が沸き起こっていた。【取材・文/成田おり枝】