可愛い“方言女子”がトレンド!?ヒットするアニメに共通する地方性
社会現象とも言えるヒットを記録し、世間をにぎわせている『君の名は。』(公開中)。そして各所で絶賛の声が後を絶たず、口コミを中心に熱を帯びている『この世界の片隅に』(公開中)。アニメーションであることのほかに、この2作品には、“ヒロインが方言を話す”という共通点がある。
「かわいい!」と思わせるヒロインたちの方言こそ、じつは多くの人の心をグッと引きつける重要な役割を担っている!?
都会と田舎、両極端な2か所舞台にした『君の名は。』で登場する方言といえば、上白石萌音が声を担当したヒロイン・三葉の「~やよ」や「思い出せんの」という特徴的な語尾。普段は現代っ子らしく標準語を話す三葉だが、時折飛び出す方言が、都会に憧れる彼女の気持ちを際立たせ、物語の対立構造を強調させている。
一方、『この世界の片隅に』で主人公・すずが話す方言は、「何でもつこうて(使って)、暮らし続けにゃならんのですけぇ、うちらは」と、コテコテの広島弁。片渕須直監督が徹底的に考証にこだわって描いた本作は、方言も第二次大戦下の広島・呉に暮らした人たちが話しそうな特徴を見事に捉えている。
特に、女優・のんが演じるすずの「ありがとう この世界の片隅に うちのことを見つけてくれて」というセリフは何とも印象的。温かみのある方言によって、日常の延長戦上に戦争が存在したということが強調され、リアリティや説得力を生んでいるのかもしれない。
この2作品に続くかのように、今後もヒロインが印象的な方言を話す作品が登場する。『ポッピンQ』(12月23日公開)では主人公・伊純が「~やき」というインパクトのある土佐弁を、『ひるね姫 ~知らないワタシの物語~』(3月18日公開)では、高畑充希が声を演じるヒロイン・ココネが「~じゃわ」という岡山弁を使っている。勝気な性格の伊純とマイペースなココネ、それぞれの性格にぴったりの方言がキャラクターの個性を印象づけている。
実写作品と比べて、声という情報がより重要な意味を持つアニメーションにとって、方言は作品の世界観に大きくかかわってくる。方言づかいへの細かなこだわりが、ヒット作として観客に愛される秘訣なのかもしれない。【トライワークス】