ロジェ・アナン
Rapiere
アントワーヌ・フラショのオリジナル・ストーリーを、「ファントマ 危機脱出」のジャン・アランが脚色・台詞を担当、「二重の鍵」のクロード・シャブロルが監督した“虎”シリーズのアクションもの。撮影は「すばらしきセルジュ」以来シャブロルと組んでいるジャン・ラビエ、音楽は「新・七つの大罪」のピエール・ジャンセンが担当した。出演は「若者のすべて」のロジェ・アナン、「007/危機一発」のダニエラ・ビアンキ、「二重の鍵」のマリオ・ダヴィド、ロジェ・デュマ、マリア・モーバンなど。
フランスとトルコの間に結ばれることになった通商協定の中には、超音速ジェット戦闘機ミラージュ4型の売り渡し条項が含まれていた。その矢先、トルコ商相バスキンと間違えられ、交渉にあたっていたフランス人顧問が何者かに暗殺された。トルコ代表団をむかえるオルリー空港には、秘密諜報組織員で“虎”の異名をもつラピエール(R・アナン)や、その仲間デュベたちが警戒にあたっていた。だが同じ空港には、異様な風態の男が数人待ちかまえていた。代表団が到着した。バスキン夫人、令嬢メリカ(D・ビアンキ)、秘書官クーバッシが同行してきたが、クーバッシの態度には何故か不審な点が多かった。空港をみはるラピエールは小銃を操作する怪しい二人組を逮捕した。その日以来、ラピエールは護衛をかねて夫人、メリカをパリ見物に案内したが、ラピエールとメリカは次第に愛しあうようになった。オペラ見物の晩、ラピエールが油断したすきに、メリカが誘拐された。空港で捕えた二人組を自供させたラピエールはスパイ団が二組いることを知った。メリカを誘拐した白髪の男ドブロフスキー一派と、秘書官クーバッシをボスとするベニタ一味だ。そしてクーバッシこそ、バスキン暗殺計画のボスだったのである。まずドブロフスキーの本拠にのりこんだラピエールはメリカを助け、彼ら一味を殴り倒したが、外にはベニタ一味が待ちかまえていた。スクラップ工場につれていかれたラピエールは圧縮機で殺されそうになった時、現場に現れたクーバッシを追って刑事たちが救助にかけつけた。激しい射ちあいのすえ、ベニタ一味は逮捕され、圧縮機にほうりこまれたクーバッシは、ショックのあまり息絶えてしまった。
[c]キネマ旬報社