星正人
安田一平
本宮ひろ志とチューリップ組原作の同名劇画の映画化。財閥の後継者として、家の作法通り花嫁さがしの旅に立つ主人公を描く。脚本は「サチコの幸」の出倉宏と松本正志の共同、監督は「狼の紋章」の松本正志、撮影は「星と嵐」の原一民がそれぞれ担当。
安田一平は、高校を二年間で終了し、安田財閥の後継者として、あとの一年間を安田家の作法通り、花嫁さがしの旅に出ることになっていた。探してきた娘が、親族の中で一人でも反対者がいた場合は、一平は後継者としての資格も失うことになるのだった。この一平の旅を利用して、安田家の後継者の椅子を狙う男たちがいた。叔父、政行、その息子、統一郎である。東海道を旅する一平は、静岡で美奈子という娘を救う。一平には、二人母がいた。一平の実母、妙は昔、源治郎を救ったことをきっかけに、一平とともに安田家へ来たが、家族の冷偶を受け、家を出て不幸な一生を閉じたのであった。そして、十年間、一平を育ててくれた和子がもう一人の母だった。旅を続ける一平は、清水で亜矢と知り会う。亜矢は、黒崎一家の一人娘で、そこで一平は彼女の危機を救った。そのことが忘れられず、一平のあとを追う亜矢。京都に向う途中、亜矢の一件で恨みを持つ者に一平は襲われ、崖から激流へ落ちてしまう。彼を救ったのは、飯場で働くあき子だった。彼女は、口がきけず、記憶喪失だった。この飯場は、関西の財閥、大友グループのものだった。一平は、あき子に恋をしたが、飯場の仲間の前川も大友家のドラ息子の敬三も毒牙をむいていた。そして、別荘の落成記念パーティの席上で、あき子が突然、口をきいた。あき子は、白菊という祇園の芸妓で、政界の大物、黒田権次郎に、二千万円で売られたのだった。しかし、自動車事故に遭い、記憶を失くし、このパーティで黒田を見て、自分の記憶をとりもどしたのだった。二人に止められながらも、祇園に帰る白菊。一平は、五千万円をつんで、黒田と、白菊を取り合いになり、勝ったが、白菊は一平の申し出をことわった。このことは、統一郎の耳に伝わり、安田一族の会議の結果、一平は人生勉強のために金を使った、すなわち、自分自身のために金を使ったということになり、源次郎のツルの一声で、花嫁探しの旅をつづけるのであった。
安田一平
源次郎(祖父)
清十郎(父)
和子(継母)
妙(生母)
政行(叔父)
統一郎(政行の長男)
聖子(政行の長女)
白川先生
稲垣美奈子
黒崎亜矢
あき子(実は白菊)
大友茂子
良子
黒崎組長
山崎組長
野城金次
安田研究所調査員
黒田権次郎
大友為治
敬三
新治
町田
前川
監督、脚本
脚本
原作
製作
製作
撮影
音楽
美術
編集
照明
録音
助監督
製作担当
スチール
製作協力
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