2020年代の日本映画で存在感を増す“松竹ラブストーリー”。口コミで「泣ける」と話題沸騰の『366日』が、公開3週目で2位に急浮上!

2020年代の日本映画で存在感を増す“松竹ラブストーリー”。口コミで「泣ける」と話題沸騰の『366日』が、公開3週目で2位に急浮上!

1月24日から1月26日までの全国映画動員ランキングが発表。前週好スタートを飾った『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』(公開中)が週末3日間で動員30万6000人、興収5億2800万円と、前週末対比87%の好成績を記録し2週連続でナンバーワンを獲得。累計成績では動員85万人&興収14億円を突破している。

6位スタートから異例のヒット!興収も10億円突破が目前に

【写真を見る】『映画あの花』の次は『366日』!松竹の“純愛映画”がSNSを中心に口コミ拡大
【写真を見る】『映画あの花』の次は『366日』!松竹の“純愛映画”がSNSを中心に口コミ拡大[c]2025映画「366日」製作委員会

今回トピックとして大きく取り上げたいのは、2位にランクインした『366日』(公開中)だ。1月10日に公開され、祝日と重なる連休となった最初の週末4日間で動員17万8600人&興収2億3300万円の成績で6位からスタートし、公開2週目末には初週末3日間対比135%の成績を記録し5位に浮上。そしてこの公開3週目の週末3日間でも動員18万7000人、興収2億4200万円と、またもや初週を上回る成績をあげていっきに2位まで上り詰めた。

2008年に発表されたHYの同名楽曲をモチーフにした同作は、沖縄と東京を舞台に20年にわたる物語が描かれるラブストーリー。元々この楽曲は連続ドラマの放送期間中に映画版を公開するという異例の戦略で話題を集めた『赤い糸』(08)の主題歌であり、2024年4月期には同じように楽曲を原作としたテレビドラマが「月9」で放送。つまり、同一原作の別解釈による再映像化といった立ち位置ということになるだろうか。

近年ラブストーリーのトレンドとなりつつある、楽曲原作のラブストーリー
近年ラブストーリーのトレンドとなりつつある、楽曲原作のラブストーリー[c]2025映画「366日」製作委員会

このように人気楽曲を原作とした映画作品と言えば、中島美嘉の同名楽曲をもとに興収11億2000万円を記録した『雪の華』(18)や、中島みゆきの同名楽曲をもとに興収22億7700万円を記録した『糸』(20)などが代表的。爆風スランプの名曲をモチーフにした『大きな玉ねぎの下で』(2月7日公開)も控えるなど、ラブストーリージャンルにおいては小説と漫画に続く重要な原作・インスパイア源となっており、とりわけラブコメに振りやすい漫画原作に対して小説や楽曲原作は“純愛もの”となる傾向が強い。

小説を原作にして興収45億円を突破した『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』(23)のように、“純愛もの”は昨今、TikTokなどのSNSを通じて中高生の間で「泣ける」と口コミが広がり予想外の大ヒットとなることがあり、今回の『366日』も例によってそうした広がり方を見せている模様。こうした流れは、SNSのあるなしの違いを除けば、『世界の中心で、愛をさけぶ』(04)と『いま、会いにゆきます』(04)などをきっかけに純愛ブームが巻き起こった20年前とさほど変化がない、このジャンルの典型的な求められ方といえよう。

2月2日と2月14日には入場者プレゼント&SNS連動の企画も!
2月2日と2月14日には入場者プレゼント&SNS連動の企画も![c]2025映画「366日」製作委員会

興味深い点は、『映画あの花』も『366日』も松竹の配給作品であるということ(『366日』は松竹とソニーピクチャーズの共同配給)。“純愛もの”を成功に導きつづける同社は、同時に『うちの弟どもがすみません』(公開中)など数年前に大ブームとなった少女漫画原作の実写映画化を現在もコンスタントに供給。ラブストーリージャンルでの存在感をこの数年で急速に強めており、いずれ2020年代の日本映画を振り返る時に“松竹ラブストーリー”という括りが登場してもなんら不思議ではないほどだ。

公開から17日間で動員75万人を突破し、興収も10億円に迫っている『366日』。“カップルの日”である2月2日(日)とバレンタインデーの2月14日(金)には特別映像が視聴できる2次元コード付きの入場者プレゼントを全国の上映劇場で配布するほか、上映後にSNSで語り合うという同時上映会を全国13館で実施。今年は劇中で重要な意味を持つ“2月29日”がない年だが、2月いっぱいはこのヒットが続くことだろう。


関連作品