プリヤダルシ
サーイル
南インドの緑豊かな農村を舞台に、コムライヤ爺さんが亡くなったことで繰り広げられる人間の悲喜こもごもを描いたヒューマン・ドラマ。いがみ合う子供たち、借金まみれの孫息子、個性的すぎる村人たち……口の悪いコムライヤ爺さんが彼らに残したメッセージとは──。舞台となったテランガーナ州は2014年に成立した最も新しい州だが、州都ハイダラーバードはインドでもトップクラスの豊かな映画界である「テルグ語映画」の本拠地だ。にもかかわらず、複雑な歴史的経緯と、方言の問題から、テランガーナ地方の人々は、長らくテルグ語映画の表舞台で活躍する機会に恵まれていなかった。そんななか、テランガーナの文化を映画に取り込もうとする試みが広まり、作中でのテランガーナ方言が採用されたり、土地に根付いた文化が写実的に描かれたり、地域が生んだ偉人に光が当てられた作品が作られた。本作はそんな機運の中で生まれた一本であり、撮影地にもなった緑豊かなラージャンナ・シリシッラ県出身のヴェーヌ・イェルダンディが監督を務めた。
テランガーナ州ラージャンナ・シリシッラ県コーナラーウペータ村は、州都ハイダラーバードから北に150キロほどのところにあるのどかな農村。その村でコムライヤ爺さんは、長男のアイライヤとその妻スワルーパ、その息子サーイルと同居している。孫のサーイルは、奇妙なベンチャー・ビジネスを試みては失敗を繰り返し、家族には隠しているが借金まみれ。まもなく婚約式を行うので、相手の持参金を借金返済に当てようと目論んでいる。だが、式の前々日に突然コムライヤ爺さんが他界してしまう。喪に服するために婚約式は延期となり、さらに些細な喧嘩がもとで婚約者は彼のもとを去ってしまう。そんななか、爺さんの葬儀のために親族が続々とやってくる。サーイルは、叔父・叔母のモギライヤとラクシュミが連れてきた従妹のサンディヤに心を奪われる。告別式と火葬は滞りなく済み、あとは最終の儀礼である、死者の霊や祖霊が宿るとされるカラスへの供犠を行うだけだ。だが、久しぶりに一堂に会した親族たちは、エゴを衝突させ、不穏な空気が高まっていく。
サーイル
サンディヤ
Ailayya
Narayana
Laxmi
Mogili
Koamrayya
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