【今週の☆☆☆】アメリカ奴隷解放運動の真実『ハリエット』や豪華すぎるゾンビ映画『デッド・ドント・ダイ』など、週末観るならこの4本!
SNSの誹謗中傷、暴走する正義…現代社会の問題をあぶり出す『許された子どもたち』(公開中)
『先生を流産させる会』(11)、『ライチ☆光クラブ』(15)の内藤瑛亮監督が、コンプライアンスなどに縛られた商業映画のシステムから離れ、自主映画の体制で8年の歳月をかけて撮った問題作。実際の少年事件をモチーフにした本作は、中学1年の不良グループのリーダー・市川絆星(上村侑)がイジメていた同級生を殺してしまうところから幕を開ける。犯行をいったんは自供するも、絆星は無罪を信じる母親の説得で否認に転じ、少年審判は無罪に相当する「不処分」を決定。だが、自由を勝ち取った絆星と彼の両親を世間は激しくバッシングして……。カメラは人を殺したのに裁かれなかった少年とその家族がどんな運命をたどるのかを多角的な視点で冷徹に見つめ、SNSで炸裂する誹謗中傷や攻撃的に暴走する正義など現実社会の様々な問題も、鋭利に、生々しくあぶり出していく。あなたはそこでなにを思うのか?観る人の立場や考え方、どの登場人物の視点で鑑賞するかによって見え方が変わってくる。あなたを試す映画でもあるのだ。(映画ライター・イソガイマサト)
女子高生×南極!?波乱の旅路を経て彼女たちが見たものは…?『宇宙よりも遠い場所』(配信中)
なんとも詩的なタイトルを冠するこの作品は、マッドハウス制作で2018年に放送されたオリジナルテレビアニメーション。上空400kmの宇宙ステーションよりはるか遠く、日本から14000kmの距離にある場所――南極大陸を目指すのは、生まれも育ちも性格もバラバラな4人の女子高生だ。「ここではないどこかに行きたい」と思いながら無為な日々を送る女子高生キマリが、南極で消息を絶った母の遺品を探したいと望む報瀬(しらせ)と出会うことから動き始める物語。1人、2人と仲間を増やしながら南極へ行く方法を模索する一方で、彼女たちは“友人関係”にも頭を悩ませる。外部の友だちや4人の中で生まれる軋轢は、詩的なタイトルと裏腹に生々しいほどリアル。しかし、その丁寧な描写が、女子高生×南極という荒唐無稽な設定に説得力を与えているのもまた事実。南極への波乱の旅路、そして現地での驚きに満ちた生活を経て変化していく4人の関係性は、誰の目にもまぶしく映ることだろう。全13話で紡がれる珠玉の青春ストーリー。宇宙(そら)よりも遠い場所で彼女たちが見る景色を、あなたも心に焼きつけて。(映画ライター・ほそいちえ)
週末に映画やアニメを観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて!
Amazon Prime Video、Netflixほか各配信サイトにて配信中
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