『新聞記者』現象を支えた、熱烈な映画愛!“市民映画館”シネ・ウインドの取り組みとは
「映画の力に触れて、元気をもらっていただきたい」(井上)
今年の上半期には新型コロナウイルスの影響で映画業界は大きな打撃を受けることに。市民の力強いエネルギーによって支えられているシネ・ウインドにも例外なく影響があったとのことで、同館は4月22日から5月6日まで約半月間の休館を余儀なくされていた。その後、会員限定で再開し、一時的な座席指定制から従来の自由席制に戻したり、上映回数を増やしたりと、徐々に緩和に向けた取り組みが行われているのだと井上は明かす。
そうしたなかシネ・ウインドでは現在、「シネ・ウインド明日のため募金」という寄付を呼びかけている。「ミニシアターエイドや署名活動など、映画館を救う機運が高まるなかで、当館としてもその声に応える形でなにかをしないといけないという思いがありました。それを考えたときに、35年前、まだ作られてもいない映画館のためにお金を出してくれた方々の気持ちを考え、原点に立ち返るように寄付を呼びかけることにしました」と、存続への決意を新たにする。この募金は一口5000円で、7月末日まで受け付けているとのことだ。
また新潟藤井組もシネ・ウインドを支援するため、藤井監督とのコラボTシャツを6月末日まで販売していたそうだ。このコラボレーションについて、「Tシャツを作ることで、シネ・ウインドの会員の方々が藤井監督を知るきっかけにもなるし、藤井監督の作品の良さをより多くの人に知ってほしいという思いもありました」と明かす清野。「これからも新潟から、藤井組として藤井監督はもちろん、シネ・ウインドを応援していきたいし、定期的になにかおもしろいことができないか考えていきたいと思っています。また、監督の新作である『宇宙でいちばんあかるい屋根』も上映できるよう取り組んでいきたいです」。
最後に井上は「まだ『観にきてください!』と力強くは言いにくい状況がつづいていますが、映画館でお客様と一緒に映画を観るという体験は、やはり何物にも代えがたい非日常の体験だと思います。もし可能であるならば映画館に足を運んでいただきたいと思いますし、映画そのものが人の心になんらかのアクションを加えてくれるものです。もし映画館に来ることが難しい状況であっても、『W座からの招待状』やWOWOWさんなどを通して映画の力に触れて、元気をもらっていただけたら嬉しいです」と、日本中の映画ファンに向けて呼びかけた。
取材・文/久保田 和馬