WOWOWが映画愛を詰め込んだ、唯一無二の“映画館”「W座」の10年とこれから
「『新聞記者』は信念が集まった、緊張感が伝わる映画」
この7月から8月にかけての「W座」も、これまで以上にバラエティに富んだラインナップが放送予定となっており、7月5日(日)には「相棒」シリーズでおなじみの水谷豊が監督・脚本・出演を務めたヒューマン・ミステリー『轢き逃げ 最高の最悪な日』(19)、7月12日(日)には名優ロバート・レッドフォードが大胆不敵な強盗を演じた『さらば愛しきアウトロー』(18)、そして7月19日(日)には宮田が「注目の作品」だと推す『新聞記者』(19)が、ついにテレビ初放送される。
東京新聞の記者である望月衣塑子の同名ノンフィクションを原案に、政治権力の闇に迫ろうとする女性記者と若手エリート官僚の対峙を描いた社会派サスペンスである同作は、第43回日本アカデミー賞で最優秀作品賞など主要3部門を受賞するなど、昨年の国内の映画賞を総なめにした必見作だ。
「震えました。信念が集まるとこういう映画になるんだと、日本の映画も楽しみな気持ちになりましたね」と語る宮田は、「実社会にある要素を映画としてまっすぐに描いている。製作者は相当勇気がいると思うし、演じる役者さんたちも大変だったと思います。だからこそ、画面からヒリヒリした緊張感が伝わってくるのでしょう」と熱弁をふるい、同作の放送後に続けて放送される森達也監督の『i 新聞記者ドキュメント』も、あわせて観ることをオススメする。同作は、『新聞記者』の原案者でもある、東京新聞社会部の望月衣塑子記者が、政治や社会問題に鋭く切り込んでいく姿を克明に追った、ドキュメンタリーの傑作だ。
「『i 新聞記者ドキュメント』を観ると、『新聞記者』のなかで描かれた世界観の凄さがわかると思います。映画というものは、感動だけでなく知識も与えてくれる。自分の生きる社会はこうなっているのだと、より理解を深めるきっかけになると思います」。
『新聞記者』以降も、海外の映画祭で高い評価を集めた深田晃司監督の『よこがお』(19)や、MV出身の気鋭の映像クリエイター長久允監督の初長編作品『ウィーアーリトルゾンビーズ』(19)と注目の作品がテレビ初放送される。
また8月23日(日)には、『万引き家族』(18)で第71回カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した是枝裕和監督が、初めてフランスにわたって監督した最新作『真実』(19)もラインナップ。「是枝監督の演出手法は、言語も人種も超えていくのだと感嘆しました。ちょっと難解で、自分のなかで向き合わなければいけない作品なので、『W座』らしい作品と言えるかもしれません。日本の映画監督が世界に駆りだされていくためのエポックメイキングとなる作品だと思います」と、『真実』を「W座」で放送する意義を語った。