ワーナー・ブラザース、DCコミックで大型一時解雇…止まらないハリウッドの産業改革
ワーナー・ブラザース、HBO、DCコミックなどを傘下に収めるワーナー・メディアは現地時間8月10日、大規模な人員の一時解雇(レイオフ)を行ったと複数のメディアが伝えている。レイオフされた人数は、ワーナー・ブラザーズなど映画、テレビ制作部門から650名、HBOからも150名以上と、計800名を超えると言われ、多くの上級職も含む。なかでもDCコミックは編集長以下多くの編集スタッフ、出版戦略担当部署やデジタル戦略の部署からも人員削減されている。
ワーナー・メディアは今年5月にグループ企業をまとめたHBO Maxを立ち上げたが会員数の伸びが思わしくなく、組織改造を行っていた。8月7日にワーナー・メディアが出したプレス・リリースでは、5月に就任したCEOのジェイソン・キラールのコメントを掲載している。キラールCEOは、「組織内におけるHBO Maxの位置を昇格させ、グローバルに拡大する。
スタジオの編成を簡素化し、規模と効率性に焦点を当て、統合された国際部門を創設する。主要な商業活動を一つのグループにまとめ、より戦略的な運営を可能にする。その他、より効果的かつ効率的に運営するための構造的な変更を行う」としている。キラールCEOはアマゾンで海外アプリケーション・ソフトウェアの上級副社長を務めたのち、Huluの設立に携わり2007年から2013年までCEOを務めていた。直近ではストリーミング・サービスのVesselの設立も行っている。
映画産業の中心地ハリウッドがあるカリフォルニア州では、3月から続く新型コロナウイルスのパンデミックによる在宅要請が続いており、映画やドラマなどの撮影再開も映画館の業務再開の予定も立っていない。先週は、タレントや監督などのエージェントで、スタジオとの調整役を行うCAA(Creative Artists Agency)も約275人のレイオフを実施。ハリウッドの4大エージェントのうち、CAAのみがレイオフを行っていなかったが、5月のUTA(United Talent Agency)とWME(William Morris Endeavor)、6月のICMパートナーズに続き経営の立て直しを迫られた。
コロナ禍を受け、ウォルト・ディズニーやワーナーがストリーミングをビジネスの主軸に置く舵を切り、業界の産業改革が進められようとしている。
文/平井伊都子