映画で復活の「ロボコン」と”中華料理の擬人化”に見る、東映特撮の奥深さ

コラム

映画で復活の「ロボコン」と”中華料理の擬人化”に見る、東映特撮の奥深さ

「ロボコン」がつないだ平成ライダーへのバトン

そんな今作の脚本家である浦沢と、監督の石田秀範は、1999~2000年に放送されたシリーズ第2作「燃えろ!!ロボコン」にもともに登板した歴戦のスタッフでもある。「燃えろ!!~」は前年まで放送された”メタルヒーロー”シリーズの後番組として始まった。これは以前より「ロボコン」の復活を望んでいた石ノ森が98年に亡くなったことと、「がんばれ!!~」がアジア各国で放送され人気を博していたことなどが背景にあったと言われ、本編ではデザインもほぼそのままの新生ロボコン(声:伊倉一恵)が活躍。女の子型ロボット”ロビーナ”を、デビュー間もない加藤夏希が愛らしく演じていた。

シリーズ第2作「燃えろ!!ロボコン」はママ役で未唯、パパ役で渡辺いっけいが出演
シリーズ第2作「燃えろ!!ロボコン」はママ役で未唯、パパ役で渡辺いっけいが出演[c]石森プロ・東映

そして1年間放送された「燃えろ!!~」の後番組として始まったのが、同じく石ノ森原作の「仮面ライダークウガ」。「燃えろ!!~」の石田監督が続投し、オダギリジョーが主演した平成仮面ライダーシリーズの記念すべき第1作であり、「ロボコン」が”メタルヒーロー”シリーズから”平成ライダー”シリーズへと時代をつなぐ大きな転換点となった言っても過言ではないだろう。

宮城県石巻市の石ノ森萬画館の入口前ではロボコンとガンツ先生が出迎えてくれる
宮城県石巻市の石ノ森萬画館の入口前ではロボコンとガンツ先生が出迎えてくれる

ちなみに、現在放送がクライマックスを迎えている”令和ライダー”第1作「仮面ライダーゼロワン」は、人工知能(AI)搭載型の人型ロボット”ヒューマギア”の可能性を信じ、ともに手を取り合って平和に暮らせる世界の実現を夢見て戦う飛電或人/仮面ライダーゼロワン(高橋文哉)が主人公の物語。そんな或人がもしも番組の世界線を越えてロボコンと出会ったら…。優しい心を持ち、自らの意志で人間社会で役立とうと奮闘する姿にどう喜び、どんなケミストリーが起こるのだろうか(中華料理がしゃべる世界観にはあ然とするだろうけど)。

『がんばれいわ!!~』を見ながら、そんな妄想を膨らませた特撮ファンは多いはず。この復活をきっかけに夢の”令和ヒーロー”共演、そして”不思議コメディ”の遺伝子をも受け継いだ「ロボコン」ワールドのさらなる展開を期待せずにはいられない。

文/大場徹(トライワークス)

「がんばれ!!ロボコン」(1974~77)
「ペットントン」(1983~84)
「どきんちょ!ネムリン」(1984~85)
「燃えろ!!ロボコン」(1999~2000)
各シリーズ全話”東映特撮ファンクラブ”にて配信中

東映特撮ファンクラブ
http://tokusatsu-fc.jp/

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