これこそが『ロード・オブ・ザ・リング』の完成形!“エクステンデッド版”より合計120分(!)超えの未公開シーンを解説

コラム

これこそが『ロード・オブ・ザ・リング』の完成形!“エクステンデッド版”より合計120分(!)超えの未公開シーンを解説

J・R・R・トールキン原作の世界的ベストセラーを鬼才ピーター・ジャクソン監督が映画化した「ロード・オブ・ザ・リング」三部作。各作品の上映時間が約3時間(第三部は203分)という大長編だが、劇場公開版にそれぞれ約30~50分の未公開シーンを加え再編集したエクステンデッド版が存在する。現在、WOWOWとWOWOWオンデマンドでは、このエクステンデッド版を放送&配信する特集を展開中。そこで、シリーズを語るうえで欠かせない本作より、おもな未公開シーンをピックアップし、見どころを解説していきたい。

「ロード・オブ・ザ・リング」とは、人間やエルフ、ドワーフ、そしてホビットなど様々な種族が暮らす架空の世界“中つ国”を舞台とし、タイトルにもある世界を支配する絶大な力を秘めた“一つの指輪(リング)”を巡る壮大な物語が描かれる。主人公はホビット族のフロド・バギンズ(イライジャ・ウッド)。ひょんなことからこの指輪の所有者になった彼は、固い絆で結ばれた“旅の仲間”と共に指輪を葬り去るため、冥王サウロンとその配下の軍勢が巣食うモルドールの滅びの山を目指す。

『ロード・オブ・ザ・リング/旅の仲間』

イシルドゥアの禍、ホビット族について
指輪の成り立ちや、人間とエルフの同盟軍がサウロン率いるモルドール軍に立ち向かった“最後の同盟の戦い”のあらましなどが説明される第一部の冒頭。エクステンデッド版では、サウロンから指輪を奪ったイシルドゥアの末路がより詳細に描かれ、行軍中にオークに襲撃され、川へ逃げたところで矢を受けて討ち死にし、指輪にも見放されてしまう。その後、場面はホビット庄の袋小路屋敷に移り、著書「ホビットの冒険」の執筆に着手するビルボ・バギンズが登場。ホビット族について、食べることやビール、パイプ草を愛し、平和を望む種族だと説明し、演じる故イアン・ホルムのやさしい語り口も印象的だ。

フロドの旅立ち、アラゴルンとの出会い
ビルボから指輪を譲り受けたフロドは、友人で庭師のサム(ショーン・アスティン)とともにブリー村の「躍る小馬亭」へ向かう。その道中で二人は、灰色港を目指すエルフの一団を目撃。エルフたちはアマンと呼ばれる至福の国を目指しており、中つ国を去っていく彼らに対し、サムが「なんだか寂しい」と口をこぼすなど、時代の移ろいを感じさせる儚げなシーンになっている。

いたずら好きのメリー(ドミニク・モナハン)とピピン(ビリー・ボイド)と合流したフロドたち。躍る小馬亭に到着した一行は、さすらい人のアラゴルン(ヴィゴ・モーテンセン、※この時点では“ストライダー”と呼ばれている)に出会い、彼の道案内でエルフが暮らす裂け谷へ赴くことに。追加された沼地での野営シーンでは、アラゴルンが死すべき定めの人間“ベレン”と不死のエルフ“ルーシエン”との種族を越えた愛の詩を口ずさんでいる。アラゴルンもまた、エルフのアルウェン(リヴ・タイラー)との愛に葛藤しており、その思いや苦しみが伝わってくる。

【写真を見る】世界を滅ぼす“指輪”を葬り去るため、ホビット族のフロドは9人の“旅の仲間”と共に危険な旅へ出る(『ロード・オブ・ザ・リング』)
【写真を見る】世界を滅ぼす“指輪”を葬り去るため、ホビット族のフロドは9人の“旅の仲間”と共に危険な旅へ出る(『ロード・オブ・ザ・リング』)THE LORD OF THE RINGS, THE FELLOWSHIP OF THE RING, and the names of the characters, events, items and places therein are trademarks of The Saul Zaentz Company d/b/a Tolkien Enterprises under license to New Line Productions, Inc. The Lord of the Rings: The Fellowship of the Ring [c] 2001, Package Design[c] 2010 New Line Productions, Inc. All rights reserved.

裂け谷でのひと時、旅の仲間を結成
ナズグルの襲撃も受けながら裂け谷へ辿り着き、エルロンド卿(ヒューゴ・ウィービング)らの手厚い歓迎を受けるフロドたち。裂け谷では、アラゴルンと人間の国、ゴンドールの執政官の長子ボロミア(ショーン・ビーン)の初対面シーン、指輪の処遇を巡る“エルロンドの会議”で、指輪に関心を示すボロミアをガンダルフが暗黒語でけん制するシーンなどが加えられている。

フロドにガンダルフ、アラゴルン、エルフのレゴラス(オーランド・ブルーム)、ドワーフのギムリ(ジョン・リス=デイヴィス)、ボロミア、そしてサム、メリー、ピピンの9人による旅の仲間が結成される。旅立ちの朝では、アラゴルンが母ギルラインの墓所を前に、自身がイシルドゥアの子孫であり、人間を率いる運命にあることへの苦悩を吐露。旅立つ9人に向けてエルロンドが激励の言葉を贈る場面では、アラゴルンがアルウェンに向けて微笑んでおり、第二部での展開を考えると複雑な思いがあったことがうかがえる。フロドを先頭に歩きだし、「モルドールへの道はどちらですか?」と尋ねる彼に、ガンダルフが「左だ」と答えるやりとりは、この後に待ち受ける壮絶な旅路を予感させる。

ロスローリエンにて、ガラドリエルからの贈り物
モリアでのバルログとの戦いの果てにガンダルフを失った旅の仲間は、エルフの国、ロスローリエンへ向かう。劇場版ではハルディア(クレイグ・パーカー)率いる警備隊に案内され、首府カラス・ガラゾンに住むケレボルン(マートン・ソーカス)とガラドリエル(ケイト・ブランシェット)の前に通されるが、エクステンデッド版ではこのまま案内すべきか否かをハルディアが問答するシーンが追加されている。彼とエルフ語で挨拶を交わすアラゴルンとレゴラスに機嫌を損ねたギムリがドワーフ語でなにかを言い、アラゴルンに「失礼が過ぎるぞ!」とたしなめられている。

ロスローリエンを出発する日が訪れ、ケレボルンが旅の仲間全員にエルフのマントを贈り、アラゴルンには短剣を手渡している。ガラドリエルも、レゴラスにガラズリムの弓、メリーとピピンにはノルドールの短剣、サムにはエルフのロープ、ギムリには彼の熱い要望により自身の髪を3本も贈っている。劇場版ではフロドにエアレンディルの光を渡すシーンのみだったので、一行の装備が途中から変わっている理由がここで判明する。ちなみに、原作ではボロミアにも金のベルトが贈られているのだが、エクステンデッド版にもそのシーンは登場しない(※上記の贈り物も原作とは相違あり)。

冥王サウロンに忠実なナズグル(『ロード・オブ・ザ・リング』)
冥王サウロンに忠実なナズグル(『ロード・オブ・ザ・リング』)THE LORD OF THE RINGS, THE FELLOWSHIP OF THE RING, and the names of the characters, events, items and places therein are trademarks of The Saul Zaentz Company d/b/a Tolkien Enterprises under license to New Line Productions, Inc. The Lord of the Rings: The Fellowship of the Ring [c] 2001, Package Design[c] 2010 New Line Productions, Inc. All rights reserved.
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