『ジョゼと虎と魚たち』中川大志と清原果耶が、お互いに「ストイック」だと思う点は?
中川さんこそ、ストイックな方です」(清原)
俳優ではなく、声優として共演をしてみた感想を2人に聞いてみると、中川は清原に対して「ストイック」だと絶賛する。
「ジョゼ役はとても難しいです。やろうと思えば、とことんキャラクターっぽくできるし、アニメらしい表現をした方がわかりやすいインパクトを生みだせますが、やりすぎると、画と声のギャップが生まれすぎてしまう。清原さんは、そこの絶妙なラインを狙ってやっているのが、すごいなと思いました。以前、共演させていただいた時から、ストイックだと思っていましたが、とにかく負けず嫌いなんだろうなと」。
清原は「え?そこ、出ていました?」とドギマギする。中川は笑いながら「彼女は妥協しないんです。僕もとことんやるタイプなので、そこはすごくわかります。収録は2人でずっとやっていましたが、ウエイトが大きいシーンは、何回も繰り返してやっていて、すごいなと思いました」と清原をリスペクトする。
清原は「違うんです。中川さんこそ、ストイックな方です」と恐縮し「柔軟な思考を持って表現する能力がすごく高い。自分の出番じゃない時は、ずっと中川さんがやっている背中を見ながら、『わあ、すごいな』と思っていました」と互いに称え合う。
さらに「中川さんは気遣いもすばらしく、常に『大丈夫ですか?』と声を掛けてくださいます。別の現場でご一緒した時も思いましたが、今回は朝から晩までずっと一緒に録っていたので、とてつもなく周りを見ている方だなと感心しました。今回は中川さんが引っ張っていってくれました」と言うと、中川は「なにをおっしゃいます」とおどけながら「ありがとうございます」とハニカミ笑顔を見せた。
2人で収録できたことも功を奏したようで、中川は「掛け合いが多いので、2人でやるに越したことはない。ありがたかったです」と言うと、清原も「恒夫とジョゼの距離感は、リアルな空気で感じないとわからなかったので、一緒に収録できて良かったです」とうなずいた。
最後に、本作から受け取ったメッセージについても聞いた。中川は「大人になると見えなくなってくるもの、見え方が変わってくるもの、忘れてしまうものを、ジョゼというキャラクターが見せてくれるような感覚がありました。普段は見落としがちな何気ない日常が描かれている点が、僕の好きなポイントでした」とコメント。
清原は、「アニメ映画版はまったく別物になっていました」と結末の違いに驚きつつ「恒夫とジョゼの距離感や、ほかのキャラクター像が、アニメならではの表現で描かれているのではないかと。その鮮やかさやきらめきなどが、どう仕上がってくるのか、とても楽しみです」と締めくくった。
取材・文/山崎伸子