『ヤウンペを探せ!』出演の宮川大輔が語る、俳優を目指した過去とお笑い芸人としての道のり
「いまは“芸人の宮川大輔”というのが名刺になりました」
そんななか、「贋作・桜の森の満開の下」に出演した時、演出家の野田秀樹から痛烈なひと言を浴びた。
「野田さんの舞台で厳しい稽古中、もう役者自体をやめようかと思ったこともありました。でも、負けたらあかんと思ってやり通したんです。そしたら終わったあとで、野田さんから『初めは舞台をなめてたやろ。僕はそう思った。でも、なめてほしくなかったし、一生懸命やってほしかったから、僕は敢えて君に厳しくした』と言われたんです。その時、なるほどなと思いました。決してなめてたつもりはなかったけど、小手先でなんとかなるやろみたいに思ってたのかもしれないなと。野田さんからいただいたその言葉は、ほんまに宝やなと思いました」。
その後、宮川のがむしゃらな姿勢と才能は、吉本の先輩芸人たちからの評価にもつながっていく。ルミネtheよしもとでの吉本新喜劇にも出演し、やがて「人志松本のすべらない話」や「世界の果てまでイッテQ!」などのバラエティ番組でも、きっちりと芸人としての存在感を発揮している。
「正直、自分がここまでテレビに出られるとは思っていませんでした。一時期は吉本を辞めようとまで思っていたんですが、ずっとい続けて良かったです。様々な葛藤はありましたが、バラエティ番組に出させてもらったことで、いろいろな映画やドラマにも呼んでいただけるようになりました。そのころから、ああ、自分は芸人やなと思うようになったんです。いまは“芸人の宮川大輔”というのが名刺になり、『この役やったら、宮川大輔に合うんちゃうか』と思ってもらえることのほうが大切なのかなと、思ったりします」。
もちろん、俳優業についても常に真摯に向き合っている宮川。
「お芝居をする時も、決して楽じゃないです。いままで世話になった人に恥ずかしい演技は見せられへんし、上手くなったなとも思ってもらいたいですから、絶対に気を抜くことはありません。また、先輩たちのラインを含め、いろいろなことがいまの仕事につながっているので、すべてにおいて、精一杯頑張るしかないなと」。