『ヤウンペを探せ!』出演の宮川大輔が語る、俳優を目指した過去とお笑い芸人としての道のり
「この4人でコントをしたり、もっと濃いシーンも撮ったりしてみたかった」
最新作『ヤウンペを探せ!』で宮川は、池内博之、松尾諭、池田鉄洋、ヒロインの蓮佛美沙子と共にメインキャストを務め、絶妙なアンサンブル演技を繰り広げている。宮川たちが演じるのは、学生時代に映画研究会に所属していたおじさん4人組。売れない俳優のキンヤ(池内)、さえない中華レストラン店長のジュンペイ(宮川)、ラブホオーナーのアッキー(松尾)、教員試験を万年浪人中のタロウ(池田)は、いずれも独身で、かつて思い描いた理想の人生とはかけ離れた生活を送っていた。
そんな彼らが、学生時代に行きつけだった焼肉屋で20年ぶりの同窓会をすることに。そこで4人は、学生時代に撮った自主映画のヒロイン、ミサト(蓮佛)とも久しぶりに再会し、彼女がいま必要としているという“ヤウンペ”を探すべく奔走することに。果たして“ヤウンペ”とはなにを指すのか?
宮川は、旧友4人がやりとりする焼肉屋のシーンを、心から楽しんだと言う。
「皆さんと初共演だったので、最初は緊張して現場に入ったのですが、ほんまに気さくな方たちばかりで、初めて会った気がしませんでした。ベテランの3人は、自分が前に出なければいけない時は思いきり出れるけど、引く時はちゃんと引けるという人たちだったので、押し引きのバランスがとても良かったです。撮影のスケジュールはタイトでしたが、現場は和気あいあいとした雰囲気でした」。
宮川は、 メインキャストのなかで“イケメン枠”と思っていた池内について「めっちゃおもろい」とうなり、「もしかしたら、この人が一番、おもろいんとちゃうかとわかった瞬間、皆でいじりまくりました」と、池内のパブリックイメージとのギャップに驚いたそうだ。
「池内くんは、めっちゃカッコいいし、“真面目”とか“クール”とか“怖そう”とか、そういう役を演じている姿しか見たことがなかったんですが、普段の素顔は全然違ってました。ツッコミどころが満載やし、すごくピュアな方やったんです。池内さんを含め、皆さんがそれぞれたまらなくおもしろかったので、撮影が終わったあと、ちょっと寂しくなりました。もう少し長い時間をかけて、この4人でコントをしたり、もっと濃いシーンを撮ったりもしてみたかったです」。
紅一点の蓮佛については「ほんまに高嶺の花、マドンナという感じの“華”でした」と言う宮川。「でも、蓮佛さんは、お高く留まることもなく、気さくでしゃべりやすいし、本当にいい人でした。蓮佛さんと4人が1人ずつ抱き合うシーンは、幸せでしたね。全員が列をなして『次、俺の番や』という感じで、1人ずつ行くんですが、『ありがとうございました!』と、ご褒美のようなシーンでした(笑)」。
ミサトのために、4人が必死になる“ヤウンペ”探しだが、その先にはまさかの心温まるメッセージが用意されている。
「脚本家(高石明彦、渋谷未来)の方が、『この映画は、おっさんの『スタンド・バイ・ミー 』のようなイメージ』と言われていたけど、コメディやからこういう形になったのかなと。向こうは死体探しやけど、こっちは“ヤウンペ”を探しに行く。“ヤウンペ”ってなんやろ?と、それぞれが考えていくおもしろさがあります。いわば昔の自分というか、アルバムを見返すような物語なのかなと思いました』。
最後に、本作をこれから観る観客へのメッセージをもらった。
「コロナ禍ですが、ようやく映画館もお客さんを100%まで入れて、公開できることになりました。もちろん、感染予防対策をしっかりしながら、劇場へ観に来てもらい、くすくす笑って帰ってもらったらと。また、映画を観終わったあと、昔の友達に電話してもらったりしてもいいと思いますし。軽い気持ちで観てもらい、少しでも心の癒やしになってもらえたらと」。
取材・文/山崎伸子