『樹海村』清水崇らが明かす、“コロナ禍の映画づくり”のリアル「攻めなきゃいけない部分がある」
11月9日(月)まで開催中の第33回東京国際映画祭で5日、共催企画である第17回文化庁映画週間の一つとして、「コロナ禍を経てこれからの映画製作」をテーマに映画文化の最新動向を紹介するシンポジウムが開催。
第1部ではコロナ禍で最新作『樹海村』(2021年2月5日公開)の撮影・製作に挑んだ清水崇監督と東映株式会社の紀伊宗之プロデューサーが登壇。第2部では同じく今年撮影が行われた瀬々敬久監督の最新作『護られなかった者たちへ』(2021年公開)を手掛けた松竹株式会社の福島大輔プロデューサーが登壇し、同作でロケーションを担当した「せんだい・宮城フィルムコミッション」の渡邊由香里がオンライン登壇。
それぞれウィズコロナ時代の映画撮影の実情を紹介しながら、今後映画を製作・制作していく上で必要とされる取り組みなどについて語った。
『樹海村』は、今年2月に公開され観客動員110万人を突破した『犬鳴村』(20)に続く、「恐怖の村」シリーズの第2弾。“入ったら生きては出られない”など、様々な都市伝説が飛び交う富士の樹海を舞台に、新たな恐怖が描かれていく。現在仕上げ作業の真っ只中にあるとのことで、清水監督は「このお話をしている最中もスタッフが僕のチェックを待っている状況です」と、作業の合間をぬってこのシンポジウムに参加したことを明かしていた。
「保証できない代わりに、できるだけの準備をして取り組むしかない」(清水)
紀伊「2月ぐらいに製作を決めて、6月7月で撮影しましょうという話で進めていたら、春ぐらいから雲行きが怪しくなってきた。でも槍が降ってでも撮ろうと決めていたので、スケジュールがぐだぐだになることは一切なく、東映もそのスタンスを持っていたことが大きかった。監督やスタッフの皆さんにはスケジュール通りにやりますということだけ繰り返して、大丈夫かどうかはやってみないとわからないけど、まずはやると決めてスタートしました」
清水「僕の場合は『樹海村』の前に別の作品をやっていて、そちらはコロナの影響を受けずにクランクアップしたんです。その直後に『樹海村』の話をもらって、シナリオハンティングに一度行ったのですが、プロットを書き始めたタイミングでもう一度シナリオハンティング行きたいと思ったら、すでに出歩くわけにはいかない状況になっていました。でも方向性は見えていたので、脚本家とリモートで打ち合わせをしながら、こもってできる作業に入ったんです。
緊急事態宣言が明けた後も、本当に撮影に入るべきかと心配する声がスタッフからも飛び交ったのですが、それは誰にも答えが出せないこと。こういう仕事をしている以上、攻めなきゃいけない部分があるし、紀伊さんがそういうスタンスでいてくれたことが助けになった。それに企画開発を進めている間に、制作プロダクションのプロデューサーが消毒グッズやマスクを大量に仕入れてくれて、そういう支えがなかったらできなかったと思います。
このコロナ禍で仕事がなくなっている方もいて、スタッフも不安に駆られている。その不安は監督やプロデューサーにぶつけてこられる。でも保証できない代わりに、できるだけの準備をして取り組むしかなかった」