杉野遥亮が見つめる、“いまの自分”「喜んでもらうことにやり甲斐を感じる」

インタビュー

杉野遥亮が見つめる、“いまの自分”「喜んでもらうことにやり甲斐を感じる」

「誰かを支えるというのは、その誰かからなにかをもらっている」

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撮影/河内彩 ヘアメイク:速水昭仁/スタイリスト:伊藤省吾

そして遥を支える颯太の役を通して、「誰かを支えるというのは、その誰かからなにかをもらっていることだと思った」と感じるに至る経緯を説明してくれた。
「颯太は遥から勇気や感動をもらっているから、それを受けて“ありがとう”という想いで、遥がもっと頑張れるように自分も頑張るんです。そうすると、さらに遥が頑張ってくれるから、もっと颯太も、という。人間関係って行ったり来たり、そのラリーがあってこそだと思うんです。僕もちゃんとラリーができる人と仕事をしていきたいな、って思います」。

“装具士”とはある意味“職人”とも言える。そう話を振ると、「でも僕は、いわゆる“職人っぽさ”はあまり得意ではなくて…」と意外な答えが返って来た。
「技を極める職人気質と、僕自身は真逆な人間なので…。確かに義肢装具士として颯太も、技を極めようとはしていますが、別のところにやりがいを感じている人だと思います。孤高でやり抜く職人的な仕事をしているというより、カヌーに乗る人との二人三脚で、その人に喜んでもらうことにやり甲斐を感じている、というか。僕も技を極める職人系ではなく、相手の喜ぶ表情や反応を見て喜びを感じるタイプ。常に関心が人に向いちゃう、人好きなんですよ、僕」。

「本作は、自分の成長を感じられる機会にもなった」

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撮影/河内彩 ヘアメイク:速水昭仁/スタイリスト:伊藤省吾

杉野にとって、『キセキ-あの日のソビト-』の兼重監督とも、もう一つの大事な再タッグとなった。監督の「頼もしくなった」というコメントを聞いた杉野は、「当時は本当に、ペーペーの大学生状態でしたから」と苦笑い。
「あの頃は、仕事だけれど仕事じゃない感覚が抜けていなくて。経験もなく、なにも分からなかった当時と比べると、今回は周りのことを見る余裕が出てきたな、色んなことが見えているなと感じましたし、それを確認できました。また今回は、ちゃんと役者として “こういうセリフはどうでしょう”など、監督とお話ができるようにもなっていました。逆に、あの時の新鮮な気持ちを思い出したり…。いろんな意味で、自分の成長を感じられる機会になりました」

最後に、本作を通して伝えたいこと、感じたことを教えてもらった。
「遥は“こうありたかった自分”、“こうなりたかった自分”など、先を見過ぎていたのかもしれない。だからそれが叶わなくなった時、現実から目を背け、過去の自分にすがるしかなかった。でも“いまの自分”を見つめれば、周りにある大切なものが見えてくると思うんです。将来に対する不安より、そこに気付けたほうが、ずっと幸せ。
親はもちろんですが、周りに居る安心して身を委ねられる人たちの、ありがたみや強みに気付ければ、そんな心強いことってないよね、と映画を観て改めて感じました。誰を大切にしたいのか、なにともっと深く交わっていきたいかなどを見つめ直すきっかけになってくれる映画だな、と思います」

【写真を見る】最旬俳優・杉野遥亮、等身大の笑顔がはじけるフォトセッション
【写真を見る】最旬俳優・杉野遥亮、等身大の笑顔がはじけるフォトセッション撮影/河内彩 ヘアメイク:速水昭仁/スタイリスト:伊藤省吾

取材・文/折田千鶴子

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