円卓の騎士、三蔵法師、ダ・ヴィンチ…実写映画で深まる『劇場版 FGOキャメロット 前編』サーヴァントの魅力

コラム

円卓の騎士、三蔵法師、ダ・ヴィンチ…実写映画で深まる『劇場版 FGOキャメロット 前編』サーヴァントの魅力

人気ビジュアルノベル「Fate」シリーズのゲームアプリが原作の『劇場版 Fate/Grand Order -神聖円卓領域キャメロット-前編 Wandering; Agateram』(12月5日公開)。本作では、何者かに介入された過去の歴史=“特異点”の修復をめぐり、歴史上の英雄や物語、伝説の存在を魔術で召喚した英霊=“サーヴァント”たちが戦いを繰り広げる。今回は、その“サーヴァント”の魅力を、MOVIEWALKER PRESSらしく、彼らを題材にした映画などに触れつつ掘り下げたい。

獅子王に仕える円卓の騎士。左からモードレッド、ガウェイン、トリスタン、アグラヴェイン
獅子王に仕える円卓の騎士。左からモードレッド、ガウェイン、トリスタン、アグラヴェイン[c]TYPE-MOON / FGO6 ANIME PROJECT

映画界でも人気の“アーサー王と円卓の騎士”

『劇場版 FGOキャメロット 前編』の舞台は、歴史介入により異なる時代・地域のサーヴァントが召喚された1273年のエルサレム。そのサーヴァントたちの一角が、かの「アーサー王伝説」に由来する中世騎士、“円卓の騎士”たちだ。本作では、王の右腕的存在のガウェイン、勇壮なランスロット、智略者のアグラヴェイン、叛逆の騎士モードレッド、美丈夫のトリスタンが、“獅子王”と呼ばれる統率者に仕えている。また本作の主人公、放浪の騎士ベディヴィエールも円卓の騎士である。劇中では、モデルになった人物たちの人間性や関係性、戦いにおける特徴が随所に見られ、彼らのバックボーンへの興味関心が自然と広がっていく。

ベディヴィエールは、アーサー王の最期を看取り、王の聖剣エクスカリバーを湖の妖精に返還する遺命を帯びたとされる
ベディヴィエールは、アーサー王の最期を看取り、王の聖剣エクスカリバーを湖の妖精に返還する遺命を帯びたとされる[c]TYPE-MOON / FGO6 ANIME PROJECT

「アーサー王伝説」の魅力的な騎士たち、伝説は幾度も映画の題材となっている。近年では『シャーロック・ホームズ』(09)のガイ・リッチー監督作の『キング・アーサー』(17)が記憶に新しい。

同作は、冒頭から“巨大な象の怪物”が登場したり、モードレッド、ベティヴィエールの他言語での呼称“モルドレッド”、“ベディヴィア”が伝説とは異なるキャラクターに冠せられたりと、大胆な脚色が施されたアクション・ファンタジーとなっている。円卓の騎士は終盤まで描かれないものの、アーサー(チャーリー・ハナム)が携える聖剣“エクスカリバー”の特異性が際立つ展開は、聖剣が物語の重要要素となるこの伝説のエッセンスを色濃く感じさせる内容となっていた。

円卓の騎士の一人、ランスロット。彼の子供ギャラハッドも円卓の騎士として知られる
円卓の騎士の一人、ランスロット。彼の子供ギャラハッドも円卓の騎士として知られる[c]TYPE-MOON / FGO6 ANIME PROJECT

円卓の騎士が描かれる作品としては、アントワン・フークア監督による『キング・アーサー』(04)が挙げられる。同作にはガウェイン(ジョエル・エドガートン)、ランスロット(ヨアン・グリフィズ)、トリスタン(マッツ・ミケルセン)が登場し、アーサー(クライヴ・オーウェン)に仕え活躍。歴史学における仮説を基に、中世というより古代ローマ調のスペクタクルとして製作され、ローマに従う軍人アーサーが葛藤と戦いの末、ブリトン人の女性グウィネヴィア(キーラ・ナイトレイ)と出会い、ブリトンの王になるまでが描かれる。

同じ伝説を基にしながら、まったく異なるテイスト。そもそもこの伝説が長い年月を経て、さまざまな著者、編者に紡がれ体系づけられ、現在も多様な創作意欲を掻き立てる“魔力”を秘めた物語なのかもしれない。その意味で『劇場版 FGOキャメロット 前編』が伝説の騎士たちの新たな魅力を引きだしたのは間違いない。

円卓の騎士の一人、トリスタン。彼の伝説はワーグナー作曲の楽劇にもなっている
円卓の騎士の一人、トリスタン。彼の伝説はワーグナー作曲の楽劇にもなっている[c]TYPE-MOON / FGO6 ANIME PROJECT

このほかにも、トリスタン(ジェームズ・フランコ)とアイルランドの王女イゾルデ(ソフィア・マイルズ)の悲恋を描き「ロミオとジュリエット」の原点的物語とも謡われる『トリスタンとイゾルデ』(06)、伝説の剣を持つ勇壮な少女ニミュエが“傭兵”のアーサーと共に冒険を繰り広げるNetflixドラマシリーズ「ニミュエ 選ばれし少女」(配信中)といった作品も。さらに遡ること41年前、日本では東映の製作によるテレビアニメ「円卓の騎士物語 燃えろアーサー」が日曜夜7時というゴールデンタイムに放送されていた。一見、日本では馴染みの薄そうなこの伝説だが、想像以上に身近なエンタメの題材だったのかもしれない。


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