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クリスマスはやっぱりマコーレー・カルキン!波乱の30年史と、批評家が選ぶ“フレッシュ”10選

コラム

クリスマスはやっぱりマコーレー・カルキン!波乱の30年史と、批評家が選ぶ“フレッシュ”10選

『ホーム・アローン』で大ブレイクを果たした裏で、プライベートの苦悩は始まっていた
『ホーム・アローン』で大ブレイクを果たした裏で、プライベートの苦悩は始まっていた『ホーム・アローン』ディズニープラスで配信中 [c]2020 Disney

出演作のなかでもっとも高い評価を得たのは、『ホーム・アローン』よりも2週間早く全米で公開されたスリラー映画『ジェイコブズ・ラダー』の73%。そんなリストに入った『ホーム・アローン』以前の作品は『ジェイコブズ・ラダー』と『おじさんに気をつけろ!』の2作品のみで、この『おじさんに気をつけろ!』は『ホーム・アローン』で脚本を務めたジョン・ヒューズがメガホンをとった作品である。

演技力とプロ意識の高さはお墨付きだったが…
演技力とプロ意識の高さはお墨付きだったが…『ホーム・アローン2』ディズニープラスで配信中 [c] 2020 Twentieth Century Fox Film Corporation

それがきっかけとなり、ヒューズは『ホーム・アローン』の主人公ケビン役としてマコーレーをコロンバス監督に紹介。はじめはキャスティングすることを躊躇っていたコロンバス監督だったが、200人近くの子役をオーディションした結果、素直にヒューズの提案を受け入れることに。撮影当時まだ9歳だったカルキンだが、大人びているうえに高いプロ意識を持っていたといわれており、共演したジョー・ペシは「彼はすでに老人だ」と当時のインタビューで語っていたとか。
同作は公開されるや驚異的な大ヒットを記録。11月中旬の公開からクリスマスシーズンを超えて12週連続で興行収入ランキングの1位を獲得し、翌年のサマーシーズンまでトップ10圏内をキープ。最終的には興行収入2億8000万ドルを記録し、もっとも成功したコメディ映画としてギネスブックに認定されたことも。

両親の泥沼裁判から俳優引退、そして17歳での結婚と離婚など波乱が待ち受けていた
両親の泥沼裁判から俳優引退、そして17歳での結婚と離婚など波乱が待ち受けていた写真:SPLASH/アフロ

その後、ふたたびコロンバス監督とヒューズがタッグを組んだ『オンリー・ザ・ロンリー』や、『ホーム・アローン2』などに立て続けに出演。その頃には出演料が『ホーム・アローン』の時の数十倍にも跳ね上がったともいわれているが、その影響などもあってオファーは年々減少。
幼かったカルキンが稼いだ収入をめぐって家庭内で揉め事が勃発し、その不和はやがて泥沼な裁判にまで発展。あげくの果てにカルキンは自ら俳優活動を休業することを発表。その後、普通の人生を送るために俳優引退を宣言することに。

17歳の時に女優のレイチェル・マイナーと結婚し、2年後に離婚したカルキンは、実在した“クラブ・キッズ”マイケル・アリグの破天荒な半生を描いた、2003年の『パーティ★モンスター』で映画界に復帰する。
同作の撮影前には、当時獄中にいたアリグに自ら会いに行き役作りに活かすなど、変わらぬプロ意識の高さを発揮。同作の批評家からの評価は壊滅的なものとなってしまったが、一般の観客からの評価は高く、「ロッテン・トマト」でも75%フレッシュのオーディエンス・スコアを獲得している。

観客から絶大な支持を集め、クリスマス映画の代表格になった『ホーム・アローン2』
観客から絶大な支持を集め、クリスマス映画の代表格になった『ホーム・アローン2』『ホーム・アローン2』ディズニープラスで配信中 [c] 2020 Twentieth Century Fox Film Corporation

そう、実はリスト下位も含め、ほとんどの作品が批評家よりも観客から高評価を得ている作品ばかりで、『マイ・ガール』や『ホーム・アローン2』などは、観客からは名作としていまなお親しまれている。これはそれだけカルキンという俳優が愛されている証拠ではないだろうか。

ところが復帰早々、2004年の秋に薬物所持で逮捕されてしまい、ここから長い長い低迷期が始まる。テレビシリーズなどで細々と活動したのち、2012年に「ピザ・アンダーグラウンド」というバンドを結成。その頃に突然激ヤセし、薬物中毒やニコチン中毒、余命わずか、さらには死亡説まで流される始末。

【写真を見る】薬物疑惑に奇行…激ヤセで認識不能だった時期のマコーレー・カルキン
【写真を見る】薬物疑惑に奇行…激ヤセで認識不能だった時期のマコーレー・カルキン写真:SPLASH/アフロ

それでもふたたび俳優業に復帰したカルキンは、2019年に映画『Changeland』に出演。アニメシリーズ「Robot Chicken」で共演したセス・グリーンがメガホンをとった同作は、批評家からはなかなかの好評を得るなど、復調の兆しをみせた。

2018年には「Googleアシスタント」のCM「Home Alone Again with the Google Assistant」で久々に『ホーム・アローン』のケビンを再演したり、2020年の春には、ディズニープラスで製作される、『ジョジョ・ラビット』(19)のアーチー・イェーツが主演するリブート版『ホーム・アローン』に破格の出演料でカメオ出演することが報じられたりと、いかに観客にとって、『ホーム・アローン』のケビン役が印象深いのかがうかがえる。
このようにいまなお根強い人気を誇り、クリスマス映画の定番となった『ホーム・アローン』は、今後さらに人気を高めることになるだろう。

それでもまだ40歳のカルキン。再ブレイクも夢ではないはず!
それでもまだ40歳のカルキン。再ブレイクも夢ではないはず!写真:SPLASH/アフロ

そしてもちろんカルキンもまだ40歳。これから再ブレイクのチャンスが訪れる可能性もあるだけに、その動向に注目していきたい。

文/久保田 和馬

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