重松清の名作「とんび」が映画化!阿部寛と北村匠海が初共演で親子役に
<キャスト・スタッフコメント>
●阿部寛(市川安男役)
「これまで2度映像化されている名作ですからプレッシャーはありました。『阿部さんのヤスが見てみたい』という言葉をもらい、お受けすることを決めました。これだけ魅力的な主人公を演じられるというのは非常にやりがいがありました。本作は、不器用な父・ヤスと息子・アキラの情愛、そして町の人々の人情も強く描かれています。ヤスにとっての“家族”は登場人物全員、町の人々皆が支え合いながら生きていく姿がこの映画の魅力です。一つの家族だけではなく、様々な形の家族が集合体となって大きな家族を描く作品です。アキラを育てていくことにより、彼を取り巻く人々の愛が錯綜する物語です。
昭和30年代から令和までという長い時間を描いています。いま、世の中が世界的に分断され、さらにコロナウイルスで人々の間に亀裂が入り、距離が生じている時だからこそ、人々が助け合って生きるこの物語が、皆様に届いてくれればいいなと思います。
(北村匠海の印象について)伝えることに対しての才能がすばらしい。それは饒舌とかじゃなくて、一つひとつの言葉が心地よく伝わってくる。役柄でもダメな父を理解し、母を亡くした父の苦悩を背負うアキラを見事演じてくれた。匠海くんとなら『とんびと鷹の物語』ができると感じました。
(瀬々敬久監督について)瀬々さんにはいつも本当に感動する。惜しみなく作品のために自分を使い、なりふり構わず撮影に集中していく。役者の気持ちや演技をしっかり見ていて、周りを見ながら最大限の撮影をしていく。そんな監督を皆信じて進行している現場でした」
●北村匠海(市川旭役)
「テレビドラマに続き3度目の映像化で、出演のお話しをいただいた時にプレッシャーはありましたが、監督から『北村匠海のアキラでいい、なににも引っ張られる必要はない』という言葉をもらい、アキラという人間を、自分なりに自由に演じられると思いました。この作品で描かれている、家族の愛という形だけではなく、アキラを皆が大切に育ててきた、そういう愛を心に受けて育ってきたアキラという人物を演じられるということ、それを届けられるということが非常に幸せだなと感じました。
家族という存在は、色んな形はあれど時が経っても変わらないもので、どんなに時代がデジタルになろうがそのつながりは変わらず、この映画で描かれている親子の話はきっと誰かに届けられるものだと思います。一つの命がどんどん成長し、様々なことを乗り越えていくさまを、僕の演じるアキラはこの映画の中で体現しています。そこに寄り添う父と、親子二人を取り巻く温かい人々の愛の物語をぜひとも映画館で体感してほしいなと思います。
(阿部寛の印象について)今回初めて共演させていただいて、阿部さん演じられた父は不器用なんだけれど、奥底にはとても大きな愛情があって、温かいものが伝わってくるんです。言葉や表情、父としてのたたずまい…、大きな船に乗った気持ちでした。二人のキャッチボールの心地よさを現場では感じ、改めて息子として参加できてよかったと感じています。
(瀬々敬久監督について)たっぷり時間を使って映画というものを最大限贅沢に撮っている印象です。チーム全体が信頼をもって監督の指揮に乗っかっていき、演じている僕達も心地よくて、演技の中で色々と試せる場所をたくさん作ってくださる、可能性と時間を与えてくださる監督だなと思います。贅沢な時間を過ごさせていただきました」
●重松清(原作)
「阿部寛さんのヤス、北村匠海さんのアキラ、監督は瀬々敬久さん……もう、この組み合わせだけで、ワクワクしてしまいます。映像化は3度目。しかし、原作こそ同じお話でも、それぞれに独立した『とんび』です。だからこそ、原作者として『新作』を誰よりも楽しみにしています」
●瀬々敬久(監督)
「小説『とんび』はいままで2度テレビドラマ化されているだけあって物語の強さを感じます。日本の伝統的な、それこそ国定忠治から、菊池寛や山本周五郎の世界につながるような人情噺で、生き生きとした人々の暮らしがそこに描かれています。特に、原作者の重松清さんの自伝的な部分が、息子のアキラに投影されていて、僕はちょうど重松さんやアキラと同世代に当たるのでその時代感覚に親しいものを覚えました。高度経済成長期に小学校で、30歳になる前に昭和が終わり、やがてバブル崩壊。あの生き生きと活気があり、隣近所の人たちは、皆知り合いだった時代を知っている世代。一も二もなく引き受けました。
映画では令和の時代まで描いています。そこはオリジナルの部分です。あの時代とはなんだったのか。そしてあの時代にあった親と子の関係、それはいまでも共通するものだろうし、人と人が一緒に生きること、そのすばらしさ。私たちはどこから来て、どこに行くのか。そこを探ってみたいと思いました。活気あふれる躍動感ある豪華な俳優陣が集まってくれました。どのシーンも熱く、それでいて情感たっぷりで、ものすごいシーンの連続になっています。編集ラッシュを見ましたが自分たちが撮影したことを忘れて魅入りました。
主人公、ヤスを演じた阿部寛さんは、本当にチャーミングにヤスを演っています。全身全霊でぶつかり、そのエネルギーが観る者を幸福にすらさせてくれる、新たなヤスさんが皆さんの前に現れると思います。北村匠海さんのアキラは、内部にほとばしるマグマを一見静かに湛えながら、急爆発する火山のようです。平成9年生まれの北村さんが新しい感覚で昭和生まれのアキラを演じてくれています。決して古びることのない重松清さんの『とんび』の世界、新たな映画版をぜひ、ご期待ください」
●天馬少京(プロデューサー)
「重松清さんの原作『とんび』は昭和中期以降の瀬戸内を舞台とした物語ですが、そこで描かれるヤスとアキラ、二人を取り巻く町の人々の生き方からは、当時の価値観や規範だけには決して収まらない大らかさ、真に普遍的な温かさを感じました。社会や家族の在り方が急激に変化している時代の移ろいの中で、人と人が純粋に思い合う気持ちとはどういうものなのか、なぜそれが現代においても大切で尊いものなのか。瀬々監督のもと、阿部寛さん、北村匠海さんをはじめとしたこれ以上ない豪華なキャストの方々が集まり、スタッフ全員の力が結実した作品になると思います。映画という新たな装いでお届けする『とんび』、ぜひ楽しみにしていただければ幸いです」
文/サンクレイオ翼